ウイスキーにフルーツやスパイスの香り・味わいをうつした「漬け込みウイスキー(インフューズウイスキー)」。
手軽にオリジナルのフレーバーが作れる方法として、SNSを中心に注目されています。
ウイスキーはそのままでも楽しめるお酒ですが、「漬け込みウイスキー」も高アルコール度数なウイスキーならではの楽しみ方の一つです。
本記事では、漬け込みウイスキーの基本から、おすすめレシピ、保存方法、楽しみ方までを徹底解説します。
ウイスキー初心者からベテランまで、誰もが楽しめる内容となっていますので、ぜひご覧ください。
漬け込みウイスキーの基本
漬け込みウイスキーとは、ウイスキーにフルーツやスパイスを加え、その風味を移し込むことで、オリジナルの風味を楽しむ方法です。
わかりやすい例を挙げるなら「梅酒」でしょう。
梅酒のホワイトリカーを「ウイスキー」に変えることで、「ウイスキー梅酒」を楽しむことができます。
漬け込みウイスキーの魅力は、自宅で気軽に楽しむことができ、家庭での晩酌をより特別なものにしてくれることです。
漬け込む素材により、甘さや酸味、スパイスの香りが加わり、通常のウイスキーとは一味違った楽しみ方ができます。
ウイスキーの選び方
漬け込みウイスキーを作る際のどのようなウイスキーを使うかが非常に重要です。
フルーツやスパイスの風味を引き立てるためには、比較的ライトでクリアな味わいのウイスキーがおすすめ。
例えば、「ブラックニッカ」のようなクセの少ないウイスキーは、漬け込みの素材と相性が良く、幅広いレシピに対応できます。
また、シトラス系の特徴があるグレンリベットやグレンモーレンジィのようなウイスキーに柑橘の皮を漬け込むことでより爽やかなハイボールがお楽しみいただけるでしょう。
反対に、アイラモルトのようにクセのあるウイスキーで漬け込みウイスキーを作ることは難しいです。
香りと素材の相性が合わないこともあるので、初めての漬け込みウイスキーは、比較的クリアな味わいのウイスキーを選ぶことをおすすめします。
漬け込みに必要な容器について
漬け込みウイスキーを作るためには、適切な容器が必要です。
基本的には密閉できるガラス製の容器が推奨されます。
ガラスは風味が移りにくく、内容物の変質を防ぐため、安心して長期間保存することが可能。
また、保存期間や漬け込む量に合わせて、300mlや150mlなどの少量の容量を選ぶほうが良いでしょう。
おすすめの漬け込みレシピ
レモンを使ったウイスキー漬けのレシピ
レモンは漬け込みウイスキーの定番素材です。
爽やかな酸味がウイスキーに加わり、飲みやすさが増します。
作り方は簡単で、レモンの皮を数枚ほどウイスキーに加えて数日漬け込むだけです。
この時、なるべく白い部分が入らないようにすると、苦味が出にくくより爽やかな香りがお楽しみいただけます。
レモンの量は好みですが、ウイスキー1本(700ml)に対してレモン1個分ほどがおすすめです。
一晩漬けこんんで香りを出してから、冷凍庫に入れておくとより爽やかなハイボールがお楽しみいただけます。
ハイボールにすれば、より一層爽やかな香りがお楽しみいただけるでしょう。
レモンのピールと同分量の氷砂糖を入れることで、ウイスキー版のリモンチェッロを作ることができます。
フルーツで楽しむ漬け込みウイスキー
フルーツを使った漬け込みウイスキーは、フルーツの自然な甘さがウイスキーに溶け込み、豊かな味わいを楽しむことができます。
- りんご
- オレンジ
- イチジク
- いちご
それぞれのフルーツが持つ個性が、ウイスキーの風味を引き立てます。
クリアなウイスキーが漬け込みウイスキーには無難ですが、スペイサイドモルトのようにフルーティな特性を持つウイスキーはフルーツの漬け込みにおすすめです。
フタつきのガラス容器を煮沸殺菌し、お好みの量のフルーツを詰めてウイスキーで浸して、最低1晩寝かせたら完成。
砂糖なしで作ることもおすすめですが、梅酒のようにフルーツと同分量の氷砂糖を入れることで保存性が高まり飲みやすくなります。
ウイスキーに飲みなれていない方は、砂糖アリで作った方がいいでしょう。
漬け込むほど、フルーツの香りがウイスキーに移りますが、時間経過とともに変色してしまうフルーツもあります。
そのまま飲んでも、ロックにしても美味しいですが、ハイボールが特におすすめします。
スパイス・ハーブを加えたウイスキー漬けレシピ
スパイスを加えることで、ウイスキーに奥深い味わいをプラスすることができます。
シナモンやクローブなどのスパイスを使うと、冬の夜にぴったりの温かみのある風味に仕上がりおすすめ。
ウイスキーのように高アルコール度数のお酒には、スパイスの香りや味わいが抽出されやすいです。
スパイスの量には、注意してください。
- シナモン
- バニラ
- クローブ
- カルダモン
- 生姜
- 茗荷
- 紫蘇
- レモングラス
お茶・コーヒー系で作る漬け込みウイスキー
フルーツ・スパイスのほかにおすすめなのがお茶・コーヒー系。
ウイスキーにほろ苦い味わいと香りが加わり、より深い味わいがお楽しみいただけます。
ハイボールにすることで、漬け込んだコーヒー・ティーの香りが立ちやすくおすすめです。
700mlのウイスキーに対してティーパック2~4個分ぐらいがいいでしょう。
また、コーヒーはお好みですが、700mlに対して10~30粒ぐらいの少量に抑えた方が、ウイスキーの香りが残りおすすめです。
- アールグレイ
- ダージリン
- コーヒー
- 緑茶
- ほうじ茶
- ラプサンスーチョン
砂糖なしで作る漬け込みウイスキー
糖分を控えたい方のためのレシピ
砂糖を使わずに漬け込みウイスキーを作りたい場合は、香りや味わいの特徴が強い素材を使うことがポイントです。
香り高い素材を使うことで、甘みがなくても飲みやすくなります。
柑橘系のフルーツ | 爽やかな香り |
---|---|
お茶系 | ふくよかで芳醇な香り |
コーヒー | 香ばしく深い香り |
スパイス | 複雑な香りと味わい |
氷砂糖の代わりに使える甘味料
氷砂糖を使わない場合は、蜂蜜やメープルシロップなどの自然由来の甘味料を代用することができます。
甘味料を変えることで、ウイスキーに独特のコクを与え、より深い味わいがお楽しみいただけるでしょう。
- はちみつ
- メープルシロップ
- 黒糖
- ブラウンシュガー
漬け込みウイスキーの保存方法
冷暗所での保存のすすめ
漬け込みウイスキーは、冷暗所で保存することで風味を長持ちさせることができます。
光や熱にさらされると、ウイスキーの風味が劣化する可能性があるため、保存場所には十分注意しましょう。
また、フレッシュフルーツを使ったレシピの場合、フルーツの水分が多いと腐ってしまう可能性があります。
フルーツの種類・量によっては、冷蔵庫で保管した方がいいかもしれません。
直射日光を避けるためのポイント
保存時には、直射日光を避けることが重要です。
ガラス容器の場合、光を通しやすいため、日光の当たらない場所に保管するか、遮光性の高いカバーを使用することをおすすめします。
また、樽型のディスペンサーを使うことで、遮光性を高めつつインテリアとしてもお楽しみいただくことが可能です。
ただ木材を使用したものになりますので、殺菌や腐敗、経年劣化にはお気を付けください。
どのくらいの期間保存できる?
漬け込みウイスキーの保存期間は、素材や環境によりますが、通常は1か月から3か月程度が目安です。
保存期間が長くなるほど、フルーツやスパイスの風味がウイスキーに染み込みますが、風味が強くなりすぎることもあるため、適宜味見をして調整しましょう。
また、水分の多いフルーツで作った漬け込みウイスキーは、稀に腐ってしまうことがあります。
漬け込んだ素材の種類によっては、早めにお召し上がりいただいた方がいいかもしれません。
ウイスキーの種類による味わいの違い
漬け込みウイスキーは、使用するウイスキーの種類によって味わいが大きく異なります。
例えば、シングルモルトウイスキーは豊かな風味を持つため、漬け込む素材との組み合わせが重要です。
一方で、ブレンデッドウイスキーは、バランスの取れた味わいのボトルが多く、素材と組み合わせやすいでしょう。
さらに知多のようなグレーンウイスキーは、素材の持ち味が活かしやすくおすすめです。
スコッチブレンデッドウイスキー | 比較的さまざまな素材と合いやすい |
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シェリー樽タイプ | ドライフルーツ、紅茶、ウーロン茶などがおすすめ |
バーボン樽タイプ | フレッシュフルーツ、日本茶、シナモンなどがおすすめ |
スモーキータイプ | ラプサンスーチョン、胡椒など素材が限られる |
アイリッシュウイスキー | レモン、コーヒー、紅茶など多彩に合わせれる |
バーボンウイスキー | ドライクランベリー、アールグレイなどがおすすめ |
カナディアンウイスキー | クリアなため、さまざまな素材と合わせやすい |
ライウイスキー | スパイス系との親和性が高い |
飲み方のバリエーション:ストレート・ロック・ソーダ割り
漬け込みウイスキーは、飲み方のバリエーションもさまざまです。
ストレートで素材の風味をダイレクトに楽しむのも良いですし、ロックやソーダ割りでより軽やかに楽しむこともできます。
特にソーダ割りにすると爽やかな飲み心地となり、おすすめです。
ストレート | ストレートではイマイチなこともある |
---|---|
ロック | ストレートよりおすすめ |
ハイボール | 基本、どんな漬け込みウイスキーでも美味しい |
水割り | ハイボールより劣るけど飲みやすい |
お湯割り | 組み合わせを選ぶけど、おすすめ |
おすすめウイスキーのブランド
ブラックニッカ リッチブレンド
サントリー角瓶
デュワーズ ホワイトラベル
グレンリベット12年
ジャンル | シングルモルト |
---|---|
生産国 | スコットランド・スペイサイド |
アルコール度数 | 40% |
樽 | アメリカンオーク |
熟成年数 | 12年 |
「シングルモルトの原点」といわれているグレンリベットのフラグシップボトル。
フルーティで蜂蜜やバニラのような甘みを伴う芳醇でソフトな風味が特徴です。
フルーティで華やかなお王道もスペイサイドモルトスタイルで、飲みやすくクセのない味わいから世界中で愛飲されているボトルとなっています。
カナディアンクラブ
漬け込みウイスキーに合うおつまみ
フルーツを使った簡単おつまみ
漬け込みウイスキーに合うおつまみとしては、フルーツを使ったものがぴったりです。
例えば、オレンジやりんごをカットしてシンプルに提供するだけでも、ウイスキーとの相性は抜群。
特にフルーツやお茶を使った漬け込みウイスキーがおすすめです。
フルーツの甘さが漬け込みウイスキーの風味を引き立てます。
通常のウイスキーより風味をプラスした漬け込みウイスキーの方が合わせやすいよ!
ウイスキーとのペアリングのコツ
ウイスキーとおつまみのペアリングは、味わいのバランスを考えることが重要です。
例えば、フルーティーなウイスキーには軽めのおつまみ、スモーキーなウイスキーには濃厚な味わいのおつまみを合わせると良いでしょう。
漬け込みウイスキーは、通常のウイスキーより味わい・香りが強くなっています。
その分、通常のウイスキーよりペアリングの想像がしやすいかもしれません。
同じフルーツやスパイスを使ったおつまみとウイスキーを合わせることで、統一感のあるペアリングが楽しめます。
漬け込みウイスキーを作るときの注意点
酒税法についての基礎知識
漬け込みウイスキーを作る際、知らず知らずのうちに酒税法に触れてしまう可能性があります。
日本では、お酒を家庭で漬け込む場合、その量や用途に制限があることを知っておきましょう。
特に販売を目的とした場合には、許可が必要ですので、注意が必要です。
焼酎等に梅等を漬け込む行為は、原則として、酒類の製造に該当し、酒類製造免許や酒税の納税等が必要になりますが、旅館等を営む者が宿泊客等に提供するため、当該旅館で酒類に他の物品を混和する場合等、次の全ての要件を満たすときには、例外的に酒類の製造に該当しないこととし、免許や納税等が不要となる特例措置が平成20年4月30日より設けられています。
なお、この特例措置は、この酒類を混和した旅館等において飲食時に宿泊客等に提供するために行う場合に限られ、例えばお土産として販売するなどの譲り渡しはできないこととされています。(1) 特例措置の適用を受けることができる者
「酒場、料理店等酒類を専ら自己の営業場において飲用に供する業」を営んでいる者(2) 特例措置の適用要件
イ 酒場、料理店等の自己の営業場内において飲用に供することを目的とすること
ロ 飲用に供する営業場内において混和を行うこと
ハ 一定の蒸留酒類とその他の物品の混和であること(3) 混和できる酒類と物品の範囲
混和に使用できる「酒類」と「物品」は次のものに限られます。また、混和後、アルコール分1度以上の発酵がないものに限られます。
イ 使用できる酒類・・・蒸留酒類でアルコール分が20度以上のもので、かつ、酒税が課税済のもの
ロ 使用できる物品・・・混和が禁止されている次の物品以外のもの(イ) 米、麦、あわ、とうもろこし、こうりゃん、きび、ひえ若しくはでん粉又はこれらのこうじ
(ロ) ぶどう(やまぶどうを含む。)
(ハ) アミノ酸若しくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物若しくはその塩類、有機酸若しくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす
(ニ) 酒類
(4) 年間の混和に使用できる酒類の数量の上限
混和に使用できる蒸留酒類の数量は、営業場ごとに1年間(4月1日から翌年3月31日の間)に1キロリットル以内に限られます。2 この特例措置を行う場合は、次の手続等が必要になります。
(1) 開始申告書の提出
新たに混和しようとする場合には、混和を開始する日の前日までに営業場の所在地を所轄する税務署長に対して「特例適用混和の開始申告書」を提出する必要があります。(2) 混和に関する記帳
混和に使用した蒸留酒類の月ごとの数量を帳簿に記載する必要があります。なお、消費者自ら又は酒場、料理店等が消費者の求めに応じて消費の直前に混和する場合や消費者が自ら消費するために混和する場合(Q1参照)にも例外的に製造行為としないこととされています。
根拠法令等:
酒税法第7条、第43条第1項、第10項、第11項、租税特別措置法第87条の8、同法施行令第46条の8の6、同法施行規則第37条の4の7
家庭で漬け込みウイスキーを作るときは、下記の点に特に注意する必要があります。
- 使用できる酒類はアルコール度数20度以上なので、水で薄めて漬け込むことはできない。
- 穀物類やブドウ、色素や香料が含まれているものを漬け込み用素材として使うことはできない。
- 自分、家族間で楽しむ事はOKですが、友人に譲ることはできない。
- 販売してはいけない。
使えない素材があることや作った漬け込みウイスキーを他人に譲ることが特に注意点でしょう。
上記の点に注意して、漬け込みウイスキーをお楽しみください。
まとめ
漬け込みウイスキー(インフューズウイスキー)は、自分好みの香味をウイスキーにつけることができる楽しみ方です。
フルーツや紅茶、スパイスを漬け込むことで、オリジナルウイスキーをお楽しみいただけるでしょう。
ところが、家庭で漬け込みウイスキーを作る際、衛生管理や保存環境に注意が必要。
そして酒税法上、違法となってしまうケースもあるため、正しい知識を持って法に抵触しない範囲で、自分だけのオリジナルウイスキーを楽しむように工夫をしましょう。
適正な方法で作り、適正な環境で保存し、ウイスキーをより深く味わうことができます!
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