ウイスキーの熟成樽として重要な役割を果たしている「アメリカンホワイトオーク」。
その代表的な品種がクエルクスアルバ(Quercus alba)です。
アメリカンホワイトオークで造られた熟成樽は、バニラやスパイスの香り、複雑なフレーバーを付加されると言われています。
アメリカンホワイトオークの熟成による味わいの変化やウイスキーへの貢献は計り知れません。
本記事では、クエルクスアルバの特徴やその役割、熟成における影響、代表的なウイスキーブランドとの関係について詳しく解説します。
ホワイトオークがどのようにウイスキーに独自の風味を与えるのか、その魅力に迫っていきましょう!
クエルクスアルバとは?
クエルクスアルバ(Quercus alba)は、ウイスキー熟成に使われるホワイトオークの代表的な品種です。
特にバーボンウイスキーの熟成樽には欠かせない存在となっています。
アメリカ東部を中心に生育し、強靭な材質と細かく美しい木目が特徴。
液漏れがしにくく、西洋では古来よりオークがウイスキーやワイン・ブランデーなどの熟成樽に使用されてきました。
ホワイトオークは、樽材としての性能だけでなく、熟成過程でウイスキーに独自の香りや味わいを付加することからも評価されています。
バニラやスパイシーな香りを持ち、香味豊かなウイスキーを生み出すために欠かせない要素です。
ホワイトオークの特性と特徴
ホワイトオークは他のオーク材に比べて比重が重く、数値上で重さ・硬さが優れています。
堅牢で水分の浸透を防ぎやすい特性があり、長期にわたる熟成にも耐えられる耐久性の高さが特徴。
性能の高さだけでなく、ウイスキーに好ましい香味を与えるためウイスキーの熟成樽に最適です。
特に「クエルクスアルバ」は、バニラやスパイス、軽いカラメルのような香りを付与する特性があり、熟成によってそのフレーバーが深まります。
クエルクスアルバの語源と分類
「クエルクスアルバ」という名前は、ラテン語の「Quercus(オーク)」と「alba(白)」に由来しています。
この品種は、オークの中でも特に白っぽい樹皮と強靭な木材が特徴で、その名が付けられました。
ホワイトオーク=クエルクスアルバを指すことが多いですが、違う品種もホワイトオークということがあります。
ホワイトオークは、ブナ科コナラ属の植物で、アメリカンオークとしても知られています。
その中でも特に「クエルクスアルバ」はウイスキー用の樽材として多く利用されています。
世界中のウイスキー蒸溜所がこの品種を選定する理由は、その優れた風味付与能力と長い熟成期間に耐えうる材質にあります。
クエルクスアルバの生育環境
クエルクスアルバはアメリカの東部から中西部にかけて広がる地域に自生しています。
特にケンタッキー州やテネシー州など、ウイスキーの本場である地域で見られることが多いです。
この地域の気候は、ホワイトオークが成長するのに理想的な環境となっています。
その結果、緻密な木目を持つ優れたオーク材が育まれるそうです。
オーク材は、ウイスキーだけでなく船舶やアンティーク家具、家屋などさまざまな用途で使用されますが、北米産のホワイトオークは特に上質な材として有名です。
ウイスキーの熟成におけるホワイトオークの役割
ウイスキーの熟成において、ホワイトオークの樽は重要な役割を果たしています。
ウイスキーは樽の中でゆっくりと寝かされることで、ホワイトオークから樽由来の成分が抽出。
独特の香りやフレーバーがウイスキーに加えられます。
特に、クエルクスアルバの樽はバニラやスパイスの香りをウイスキーに与えると言われており、バーボンやスコッチ、アイリッシュなどさまざまなウイスキーで重宝されている存在です。
また「ホワイトオーク」は、アルコールの長期熟成にも耐えることができる耐久性を持っています。
もしオークの名がつく「レッドオーク」を樽材に使用した場合、長い熟成に耐えることができず、ウイスキーが漏れ出してしまうそうです。
ホワイトオーク樽を使用したウイスキーの種類
クエルクスアルバを使ったホワイトオーク樽は、バーボンウイスキーの熟成に使用されることが多いです。
アメリカでは、連邦アルコール法にて内側を焦がしたオーク製の新樽を使用することが義務付けられております。
この新樽がバーボンの独特な樽香を生み出しているのですが、バーボンを作るごとに新しいオーク樽が必要です。
バーボン樽の熟成に1度使われた樽は、スコットランドやアイルランド、日本などに運ばれてウイスキーの熟成に使用されます。
新樽は良くも悪くも樽の成分が出やすい特徴があるため、長期間の熟成には向いていません。
そのため、一度バーボンで使われた樽がスコッチやアイリッシュ、ジャパニーズでは好まれているのです。
一度バーボンに使用された樽は「バーボン樽」と呼ばれ、そのままのバレル(容量200ℓ程度)や組み替えてホグズヘッド(220~250ℓ程度)で使用されています。
ホワイトオーク以外のオーク材
現在ウイスキーの主流となっている樽は、アメリカンホワイトオーク材のバーボン樽です。
ところがほかにもウイスキーの熟成樽にはさまざまなオーク材が使用されています。
- コモンオーク 学名:Quercus robur
-
ヨーロピアンオークの代名詞であり、イギリスでは「森の王」「樹木の王」と称されています。
古くからコニャックやブランデー、ワインの貯蔵用樽に使われており、スペインやフランスのリムーザン地方が有名な産地です。
スペイン産は「スパニッシュオーク」と呼ばれ、ウイスキーではシェリー樽によく使用されています。
タンニンが多く、複雑な味わいが得られることが特徴です。
- セシルオーク 学名:Quercus petraea
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コモンオークによく似た特徴を持つ木材で、ワイン樽でよく使用されてきました。
フランスが主産地で、フレンチオークと言えばセシルオークのことを指すことが多いです。
コモンオークのようにタンニンが多いですが、より香りが強い傾向があります。
- ミズナラ 学名:Quercus crispula
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北海道や本州の標高の高いところに自生しているオーク。
ミズナラを使用した樽は、白檀や伽羅のような独特な香味を得ると言われており、日本やスコットランドなどを中心に注目されています。
ところが、ホワイトオークに比べて捻じれて生長することが多く、液漏れしやすいことが欠点。
また、希少な木材となっているため、樽価格が高くなりやすいです。
他にもコナラやバーオーク、チンカピンオークなどがウイスキーの熟成樽として使われています。
また、稀に杉や桜などオーク以外の樽も使われることがありますが、カスクフィニッシュで短期間使われる程度です。
ホワイトオーク | コモンオーク | セシルオーク | ミズナラ | |
---|---|---|---|---|
通直性 | 真っすぐ育つ | やや捻じれあり | やや捻じれあり | 捻じれあり |
樽価格 | 安価 | 高価 | 高価 | かなり高価 |
香り・味わい | 中庸 | タンニンが多い | 香りが強い | 独特の香味 |
ホワイトオークで熟成されたおすすめのウイスキー銘柄
ラフロイグ QA(クエルクスアルバ)カスク
あかし ホワイトオーク
アベラワー アブーナ アルバ
ジャンル | シングルモルト |
---|---|
生産国 | スコットランド・スペイサイド |
アルコール度数 | 60% |
樽 | アメリカンホワイトオーク |
熟成年数 | NA |
アベラワーのフラグシップボトルである「ダブル・カスクマチュアード」を構成するシェリー樽とバーボン樽にフォーカスしたシリーズ【アブーナ】。
アベラワー アブーナ アルバは、アメリカンホワイトオークのバーボン樽にフォーカスした一本です。
ノンチルフィルタード、カスクストレングスでボトリングされており、はちみつやバニラ、シナモンなどのバーボン樽由来のアロマが存分にお楽しみいただけます。
また、柑橘系の爽やかなフレーバーやなめらかな口当たりが特徴。
「アブーナ」はゲール語で「起源」を意味しており、「アルバ」はゲール語で”スコットランド”とラテン語の”ホワイトオーク”のダブル・ミーニングとなっています。
ウイスキーに関するQA:ホワイトオーク編
まとめ
ホワイトオーク(クエルクスアルバ)は、ウイスキーの熟成において欠かせない存在です。
その特性や役割、風味への影響について理解することで、ウイスキーの奥深い世界をより一層楽しむことができます。
クエルクスアルバがウイスキーにもたらすバニラやスパイスの香り、樽材の成分がウイスキーに与える影響、そして世界中のウイスキー銘柄におけるその使用例を知ることで、次に試すべきウイスキーが見えてくるでしょう。
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