ハイボールやストレート、ロックなどウイスキーを飲んでいるときに、果物の香りを感じたことはありませんか?
ウイスキーにはフルーティさを感じさせる成分が数多く含まれており、飲みなれていない方でもフルーティさを感じられることがあるでしょう。
今回は、フルーティなウイスキーについて解説しつつ、おすすめの銘柄をご提案させていただきます。
なぜウイスキーからフルーティな香り??
ウイスキーからフルーティな香りがする要因は3つあります。
- 発酵由来
- 熟成由来
- 樽由来
それぞれ生まれるフルーティさについてみていこうと思います。
発酵中に生まれるフルーティさ
最初のポイントは、「発酵」です。
酵母が糖からアルコールを作るとき、副産物としてフルーティな香り・フレーバーの元となる成分(エステル類)が生成されると考えれています。
酸とアルコールの脱水縮合により得られる化合物はエステルであり、炭酸、リン酸、硝酸、硫酸、ホウ酸、スルホン酸などとアルコールから得られるエステルはそれぞれ、炭酸エステル、リン酸エステル、硝酸エステル、硫酸エステル、ホウ酸エステル、スルホン酸エステルと呼ばれる。(省略)低分子量のエステルは芳香のある化合物であることが多く、植物の精油中に含まれているものもある。人工果実エッセンスとしてもエステルが使われており、例えば酢酸イソアミル、酢酸ベンジル、イソ吉草酸イソアミルはそれぞれバナナ、ジャスミン、リンゴ様の芳香がある。
引用:https://www.toho-u.ac.jp/sci/biomol/glossary/chem/ester.html
エステル類には様々な形があり、成分の違いによって感じる香りが変わってきます。
- ヘキサン酸エチル
……パイナップルのような香り - ペンタン酸エチル
……リンゴのような香り - カプリル酸ノニル
……オレンジのような香り - 酢酸ペンチル
……リンゴ、バナナのような香り - 酪酸ペンチル
……アプリコット、洋梨のような香り
(参照:https://whiskyscience.blogspot.com/2011/11/fermentation-flavours.html)
発酵工程でさまざまなエステル類が生成されますが、酵母の種類や原料によって生成されるエステル類が変わります。
例えばエール酵母のような酵母を使うとより芳醇で華やかな香りになる傾向があり、ディスティラリー酵母を使うとすっきりとクリアな味になる傾向があるといわれています。
またウイスキーの発酵では、アルコール発酵のあと乳酸発酵をさせるところが多いです。
すると乳酸由来のエステル類が生成され、フルーティさを感じさせる要因になります。
熟成中に生まれるフルーティさ
熟成・貯蔵中にニューポット(蒸留したてのスピリッツ)中の成分のエステル化やエステル類の分解が行われるといわれています。
熟成中の変化により、果実香の感じ方や強さが変わります。
- カプロン酸エチル
- カプリル酸エチル
- 酢酸エチル
など
- ラウリン酸エチル
- 酢酸イソアミル(イソアミルアセテート)
- 酢酸フェネチル(フェネチルアセテート)
など
カプロン酸エチルはパイナップル香、カプリル酸エチルはアプリコットや洋梨のような香りです。
お互いに香味貢献度は高く少量でフルーティな香りを感じます。
また、酢酸エチルは、代表的なエステルでパイナップルのような甘い香りです。
熟成・貯蔵中に多くのエステル類は増えていきますが、中には減少するエステルもあります。
ラウリン酸エチル(フローラル香)、酢酸イソアミル(強いバナナ香)、酢酸フェネチル(上質なバラや甘いはちみつ)が代表例。
貯蔵・熟成中の複雑な化学反応がウイスキーの香りや味わいを変えているのです。
樽由来の成分によるフルーティさ
熟成中、樽からさまざまな成分が抽出されます。
- 酢酸
- コハク酸
- β- シトステロール
- クエルクス・ラクトンなど精油成分
- セルロース由来(レブリン酸、マルトール、グルコースなど)
- ヘミセルロース由来(フルフラール、酢酸、グルコースなど)
- リグニン由来(バニリン、シナップアルコールなど)
- タンニン由来(エラグ酸、タンニン酸、ポリフェノールなど)
(参考:https://kitasangyo.com/pdf/e-academy/tips-for-bfd/BFD_29.pdf)
エタノールによってウイスキー内に抽出されるとき、レブリン酸エチル(パイナップルやリンゴのような香り)が生成されます。
また、オーク材特有のラクトン類であるクエルクス・ラクトンはココナッツのような香りを持ちます。
オーク材によってトロピカルフルーツのような香りが生成されることがあるのです。
他にも、ウイスキーは別の酒が入っていた樽で熟成させることが多く、その香りがウイスキーにも付与されます。
など
樽由来の成分からもフルーティな香りは付与されていくのです。
おすすめのフルーティ系ウイスキー
グレングラント10年
ハイボールにすることで、爽やかな青リンゴ系のフルーティさがより楽しめます!
グレンモーレンジィ オリジナル
ジャンル | シングルモルト |
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生産国 | スコットランド・ハイランド |
アルコール度数 | 40% |
樽 | バーボン樽中心 |
熟成年数 | 10年 |
「完璧すぎるウイスキー」といわれるグレンモーレンジィのフラグシップボトル「オリジナル」。
材木からこだわったデザイナーズカスクで10年以上熟成された原酒のみ使用しボトリングされています。
オレンジやアプリコットのような爽やかな果実香にバニラや蜂蜜の甘いフレーバー、複雑で奥深い余韻が特徴。
本場スコットランドでは1番愛飲されているシングルモルトウイスキーです。
フルーティな香りのほかにも、香味が豊かでバランスがいいのでどんな飲み方でもお楽しみいただけます。
アラン 10年
ジャンル | シングルモルト |
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生産国 | スコットランド・アイランズ |
アルコール度数 | 46% |
樽 | 1stフィルのバーボン樽、シェリーホグスヘッド |
熟成年数 | 10年 |
クラフトウイスキー蒸留所のパイオニアとして有名な「ロックランザ(アラン)蒸留所」。
そのフラグシップボトルが、アランモルト10年です。
1stフィルのバーボン樽で熟成された原酒をメインに使用、シェリーホグズヘッドで熟成された原酒をバランスよくブレンドしています。
リコリスや砂糖漬けのレモンピール、シナモン、トロピカルフルーツのような甘く華やかな香りが特徴。
ストレートやロックはもちろん、ハイボールもおすすめです。
トロピカル香があるスコッチウイスキーとして特におすすめしたい一本です!
オルトモア 12年
ジャンル | シングルモルト |
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生産国 | スコットランド・スペイサイド |
アルコール度数 | 46% |
樽 | ‐ |
熟成年数 | 12年 |
デュワーズのキーモルトを始め、ジョニーウォーカーブラックラベルやVAT69のモルト原酒を作っているオルトモア蒸留所。
オルトモア12年はフラグシップアイテムであり、知る人ぞ知る銘酒といわれています。
シトラスやフレッシュのアプリコット、青梅のような爽やかなフルーティさにほのかな麦芽の香りが特徴。
ノンピートで作られていますが、ピート層を通った仕込み水によりほのかにスモーキーさを感じることもあります。
ストレートが特に美味しい銘柄ですが、オルトモアハイボールの突き抜けた爽やかさもいいですね!
グレンフィディック 12年
爽やかで飲みやすくコスパまでよかったウイスキーでした。最近の値上がりでややコスパが悪くなっています。。
ブルックラディ ザ・クラシック・ラディ
ジャンル | シングルモルト |
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生産国 | スコットランド・アイラ |
アルコール度数 | 50% |
樽 | バーボン樽、ワイン樽など |
熟成年数 | ‐ |
アイラ島の湧き水やスコットランド産大麦100%使用などテロワールにこだわるブルックラディ蒸留所のフラグシップボトル。
アイラ島ながらノンピートで作られており、フルーティでフローラルなエレガントさが特徴です。
アルコール度数50%とハイプルーフですが、口当たりがなめらかで奥深い余韻がお楽しみいただけます。
によりストレートやロック、ハイボールなど幅広く活躍できる一本です。
スモーキーさがない分、フルーティでエレガントな香りが感じやすいです。
ボウモア 12年
ジャンル | シングルモルト |
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生産国 | スコットランド・アイラ |
アルコール度数 | 40% |
樽 | ‐ |
熟成年数 | 12年 |
1779年創業でアイラ島最古の蒸留所であり、「アイラモルトの女王」とも呼ばれているボウモア。
ドライなスモーキーさとベリー系のフルーティな香り、ソルティな余韻が特徴。
熟成庫が海に面しており、潮風を含みながら熟成された原酒が一部使用されています。
スモーキーさとフルーティさのバランスが絶妙です!
グレンファークラス 12年
ジャンル | シングルモルト |
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生産国 | スコットランド・スペイサイド |
アルコール度数 | 43% |
樽 | シェリー樽 |
熟成年数 | 12年 |
「12年シングルモルトの理想形」といわれるボトルで、グレンファークラスのラインナップの中では最も人気のある銘柄です。
リッチでバランスの取れた味わいにドライフルーツのような芳醇なフルーティさが特徴。
シェリー樽のニュアンスが表れており、シェリー系ウイスキー入門ボトルとしても最適です。
芳醇なフルーティさが特徴で、ハイボールでもお楽しみいただけます!
グレンドロナック 12年
リッチで芳醇なドライフルーツに爽やかなベリーの印象もあります。フルーティなウイスキーとして特におすすめしたい一本です。
シーバスリーガル 18年 ミズナラ
18年熟成を思わせないフレッシュな果実香と熟成感を感じさせるなめらかな口当たりの表現が絶妙です。
デュワーズ 15年
ジャンル | ブレンデッドウイスキー |
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生産国 | スコットランド |
アルコール度数 | 40% |
樽 | ‐ |
熟成年数 | 15年 |
デュワーズの長い歴史の中でも初の女性のマスターブレンダーである7代目の”ステファニー・マクラウド”女史が手掛けた一本。
アバフェルディ蒸留所のモルト原酒を中心に15年以上熟成された40種類以上の原酒をブレンドしております。
甘く華やかでフルーティな香りとまろやかな余韻が特徴。
ストレートからハイボール、ロック、カクテルと幅広く楽しめます。
美しいボトルデザインはプレゼント用などお祝いのギフトとしてお喜びいただけるでしょう。
デュワーズはブレンデッドの中でもフルーティなタイプですが、15年がブランドの中で特にフルーティさを感じます。
バスカー ブレンデッドウイスキー
ジャンル | ブレンデッドウイスキー |
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生産国 | アイルランド |
アルコール度数 | 40% |
樽 | バーボン樽 シェリー樽 マルサラ樽 |
熟成年数 | ‐ |
ロイヤルオーク蒸留所で作られているブレンデッドウイスキー「バスカー」。
アイリッシュのウイスキー原酒3種類(モルト、グレーン、ポットスチル)のうち、モルト原酒とポットスチル原酒を一般的なアイリッシュブレンデッドウイスキーより多く使用。
贅沢にバーボン樽、シェリー樽、マルサラ(老舗トップブランドの「フローリオ」)樽で熟成させた原酒をブレンドしています。
トロピカルフルーツのような華やかな香りにやわらかな甘み、トロっとした口当たりが特徴。
リーズナブルな価格のスタンダードアイリッシュブレンデッドですが、ワンランク上の味わいがお楽しみいただけます。
最近のウイスキーの価格を考えるとコスパのいいウイスキーです。2000円台のボトルの中では特にトロピカル香が感じやすいと思います。
ウッドフォードリザーブ
ジャンル | バーボンウイスキー |
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生産国 | アメリカ・ケンタッキー州 |
アルコール度数 | 43% |
樽 | 新樽 |
熟成年数 | ‐ |
ケンタッキー州最古の蒸留所といわれているウッドフォードリザーブ。
クラフトマンシップに則った少量生産のスーパープレミアムバーボンウイスキーです。
マッシュビルはコーン72%、ライ麦18%、モルト10%と一般的なバーボンよりライ麦比率の高くなっています。
ライ麦由来のスパイシーな香味、クランベリーのようなフルーティさ、甘く芳醇な樽香が特徴。
ストレート、ハイボール、ロック、カクテルと幅広く楽しめる銘柄で、世界中のプロのバーテンダーから支持されています。
樽香にクランベリーの香りが心地いい一本です。カクテルにもおすすめ!
カバラン クラシック
ジャンル | シングルモルト |
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生産国 | 台湾 |
アルコール度数 | 40% |
樽 | バーボン樽、シェリー樽、プレーンオーク樽など |
熟成年数 | ‐ |
台湾に誕生し、本場スコットランドでも認められたシングルモルト「カバラン」
カバランシングルモルトの一作目であり、スタンダードな入門ボトルがクラシックです。
バーボン樽、シェリー樽、プレーンオーク樽など厳選した樽で熟成された原酒を使用しています。
マンゴーのようなトロピカルフルーツやバランスのとれたコクのある風味が特徴。
フルーティ系ウイスキーなら絶対に外せない一本です。
グレンウィヴィス バッチ2/2018ヴィンテージ
ジャンル | シングルモルト |
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生産国 | スコットランド・ハイランド |
アルコール度数 | 46.5% |
樽 | 1stフィル・テネシーウィスキー樽が60% 1stフィルオロロソシェリー樽が25% リフィル樽が15% |
熟成年数 | ‐ |
スコットランドにコミュニティ蒸留所として誕生した「グレンウィヴィス」
歴史上固有名詞が確認できる最古の蒸留所「フェリントッシュ」に系譜を持つ蒸留所で、バッチ2/2018ヴィンテージが初のメジャーリリースとなっています。
白ブドウのような爽やかなフレッシュな果実とトロピカルフルーツの香り、甘くふくよかな余韻が特徴。
ほのかに潮っぽさがあり、ハイランドモルトらしいスコッチシングルモルトです。
最後に……
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回のお話いかがだったでしょうか。
実は、まだまだフルーティなウイスキーはたくさんあります!!
そのフルーツ香も発酵由来だったり、樽の成分だったりと様々!!
ぜひウイスキーを傾けながら、ウイスキーの中のフルーツ香探してみてはいかがでしょうか??
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[…] また、スモーキーなウイスキーよりフルーティーな香りやバニラの甘みが強いウイスキーの方がトワイスアップにすることで魅力が一層引き立ちやすくなります。 […]