スコッチブレンディングの名手として知られるコンパスボックスが、2025年4月22日、画期的なウイスキーを発表しました。
その名も「Scot-Free」。
この新作は、イングリッシュ・ウイスキーの台頭を称える意欲作であり、同時に地理的表示(GI)取得に向けたイングリッシュ・ウイスキー・ギルド(EWG)の活動を後押しする象徴的なリリースでもあります。
本作は、コンパスボックスにとって初の「イングリッシュ・ヴァッテッド・モルト・ウイスキー」となり、イングランドに拠点を置く6つのクラフト蒸溜所のモルト原酒をブレンドしたユニークなボトルです。
ブレンドされた6つの蒸溜所
「Scot-Free」に使用された原酒は、以下の6つのイングリッシュ・クラフト蒸溜所から選ばれました。
- コッパー・リベット蒸溜所(Copper Rivet)
- コッツウォルズ蒸溜所(Cotswolds)
- イースト・ロンドン・リカー・カンパニー(East London Liquor Co.)
- スピリット・オブ・ヨークシャー蒸溜所(Spirit of Yorkshire)
- ザ・イングリッシュ蒸溜所(The English Distillery)
- ホワイトピーク蒸溜所(White Peak)
どの蒸溜所も、イングランドの気候風土と独自の製法を生かした、多彩なモルトウイスキーを製造しており、そのブレンドはまさにイングリッシュ・ウイスキーの多様性と可能性を体現するものです。
限定61本の特別リリース
このウイスキーのリリース数は、わずか61本。
これは、現在稼働中のイングリッシュ・ウイスキー蒸溜所の数に由来しています。
リリースは抽選制で、投票は4月22日に実施され、当選者は4月30日に発表されます。
このボトルは、4月28日の**聖ジョージの日(St. George’s Day)**を記念して設計されたもので、地理や伝統に縛られない自由な精神を表現した逸品です。
ウイスキーのスペック
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | Scot-Free |
タイプ | ヴァッテッド・モルト・ウイスキー(イングリッシュ) |
使用蒸溜所 | Copper Rivet, Cotswolds, East London Liquor, Spirit of Yorkshire, The English, White Peak |
本数 | 61本限定 |
アルコール度数 | 48.7% |
発売形態 | 抽選制(当選者発表:2025年4月30日) |
目的 | イングリッシュ・ウイスキーの認知向上とGI取得支援 |
EWG(イングリッシュ・ウイスキー・ギルド)とGIへの支援
「Scot-Free」は、現在進行中のイングリッシュ・ウイスキーの地理的表示(GI)取得の取り組みに対するCompass Boxの明確な支持を示すリリースです。
GI取得の動きには、一部のスコッチ・ウイスキー関係者からの反発もあります。
特に「イングリッシュ・シングルモルト」という表記や、二度蒸留を義務付けた銅製ポットスチルの使用条件などが、議論の中心となっています。


ブランドの挑戦精神とユーモア
Compass Boxは、過去にもSWA(スコッチ・ウイスキー協会)と対立しながらも、独自のクラフトスピリットでブレンドウイスキーの常識を覆してきました。
今回も、テレビタレントであるトム・スキナーを起用したSNS動画キャンペーンを展開。
動画では、スコットランド、アイルランド、ウェールズのウイスキーは受け入れられるのに、イングリッシュ・ウイスキーだけは断られてしまうというユーモラスなシーンが描かれています。
最終的に「どんな名前であろうと、偉大なウイスキーに乾杯」と締めくくられるこの演出は、ブランドの反骨精神とウイスキーに対する真摯な想いを象徴しています。
今後の展望
この特別なボトルは、単なる限定ウイスキーという枠を超え、イングリッシュ・ウイスキー全体への応援歌とも言える存在です。今後、GI認定が正式に下りることで、イングリッシュ・ウイスキーはさらに国際的な注目を集めることが予想されます。
Compass Boxがその先陣を切って打ち出した「Scot-Free」は、ウイスキー文化の未来を考える上でも重要な一歩となることでしょう。
まとめ
**Compass Box「Scot-Free」**は、イングリッシュ・ウイスキーの文化と品質への賛辞として誕生した、限定生産のヴァッテッド・モルト・ウイスキーです。
記事の要点まとめ:
- Compass Boxが「世界初のイングリッシュ・ヴァッテッド・モルト」を発表
- 使用された6つの蒸溜所は、すべてイングランドを代表するクラフト蒸溜所
- 限定61本、聖ジョージの日を記念してリリース
- アルコール度数は48.7%、抽選制で当選者は4月30日発表
- イングリッシュ・ウイスキーのGI取得活動を支援
- SWAとの意見対立を乗り越えるブランド姿勢
- トム・スキナー出演のSNS動画で軽快にメッセージを発信
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