スコットランド・スターリング市議会は、バノックバーン近郊にある歴史的な邸宅「オーチェンボウイ・ハウス」の敷地内に新設される蒸留所の建設計画を承認しました。このプロジェクトは、サステナブルな蒸留所の設計を専門とする建築会社「オーガニック・アーキテクツ」が手がけるもので、地域の歴史と環境に配慮した画期的な取り組みとして注目されています。
本記事では、建設の背景、蒸留所のコンセプト、設計の特徴、そして今後の展望について詳しく解説します。
プロジェクトの概要
建設予定地は歴史ある庭園内
新たな蒸留所が建設されるのは、17世紀に建てられたオーチェンボウイ・ハウスの壁に囲まれた庭園内です。この邸宅は1787年にスコットランドの国民的詩人ロバート・バーンズが滞在した場所として知られ、またウィンストン・チャーチルも訪れた記録が残るなど、歴史的価値の高い場所です。
現在では長らく空き地として放置されていたこの庭園を、蒸留所という新たな機能とともに蘇らせることが目的とされています。
計画概要
項目 | 内容 |
プロジェクト名 | オーチェンボウイ蒸留所計画 |
計画許可承認日 | 2025年6月13日 |
建設予定地 | オーチェンボウイ・ハウス庭園内(バノックバーン近郊) |
設計・監修 | オーガニック・アーキテクツ社 |
建設開始予定 | 2026年 |
生産開始目標 | 2027年 |
特徴 | サステナブル設計、オーガニックガーデン併設、冷却機能付き温室 |
設計コンセプトとサステナブルな取り組み
歴史と自然の融合を目指す建築
オーガニック・アーキテクツが手がける今回の蒸留所は、伝統と革新が共存する設計です。建物は、ヴィクトリア朝時代の温室を彷彿とさせる外観を持ち、壁に囲まれた庭園内に静かに佇むように配置されます。特に注目されるのが、温室から見下ろせる形で設置されるウォーターガーデン。この設備は蒸留工程の冷却システムとしても機能し、持続可能な蒸留所運営を象徴するものとなります。
オーガニックガーデンと生物多様性への配慮
庭園内には、ウイスキーの原料となるハーブ類や植物の栽培を目的としたオーガニックガーデンも設けられます。これは、単なる景観設計を超えた、生物多様性の保全および地元コミュニティとの連携を意識した試みです。
オーガニック・アーキテクツのディレクター、バリ・リード氏は、「この土地の個性と歴史を讃えると同時に、現代にも通じる価値を創出したい」と語っています。
今後の展望と地域への影響
地域活性化への貢献も期待
オーチェンボウイ蒸留所は、単なる生産施設としてだけでなく、観光や教育、地域振興に寄与する存在になると期待されています。歴史的建造物を活用することで地域の魅力を再発見し、さらに持続可能性という現代的なテーマを取り込むことで、新たな文化・経済の創出につながるでしょう。
2026年の建設開始後、順調に進めば2027年にはウイスキーの生産が始まる見込みです。
まとめ
新たに承認された「オーチェンボウイ蒸留所計画」は、歴史と自然、そして持続可能性を融合させた先進的なウイスキープロジェクトです。スターリングの豊かな文化遺産の中で、次世代型蒸留所としてその第一歩を踏み出そうとしています。
記事まとめ
- オーチェンボウイ・ハウスの庭園に新しい蒸留所建設が承認
- 設計はサステナブル建築を得意とするオーガニック・アーキテクツ社
- 冷却機能を備えた温室とオーガニックガーデンを併設
- 歴史的な邸宅跡地を再活用する地域振興型プロジェクト
- 建設開始は2026年、生産開始は2027年を予定
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