アイラ島の蒸留所ブルックラディが、フラッグシップである「ザ・クラシック・ラディ」を10年熟成へとリニューアルします。
これまでノンエイジとして展開されてきたこのボトルが、明確に「10年」と表示される。これは単なる表記変更というより、蒸留所の時間の積み重ねが、ようやく形になった場面と言えそうです。
200mlボトルは2月17日より全国のローソン(一部店舗を除く)で先行発売。700mlは3月2日からの展開となります。
“10年”が意味するもの

ブルックラディは2001年の再開以降、テロワールと透明性を掲げ、原料や熟成環境を一貫してアイラ島に置いてきました。
その流れの中で原酒のストックが充実し、フラッグシップに年数を冠することが可能になった。
今回の10年熟成は、派手な方向転換ではありません。 これまでの「柑橘と花」というスタイルを保ったまま、時間が加わっただけです。
時間を足すことで、何を足さなかったのか。 そこに、このリニューアルの本質があるように感じます。
アイラ島産ノンピートという立ち位置
ブルックラディは、アイラ島にありながらノンピートを主軸に据える、少し異色の存在です。
100%スコットランド産大麦を使用し、蒸留から熟成、瓶詰めまでを島内で完結。 アルコール度数50%、ノンチルフィルターでのボトリング。
ピートで語られがちなアイラの中で、 この蒸留所は、柑橘、フローラル、穀物の甘みで語ろうとする。
10年という熟成が、その輪郭をより丸くしたのか、それとも芯を強くしたのか。 実際にグラスに注いで確かめたいところです。
テイスティングノートから見える変化
香りには、熟れた果実、レモンピール、オレンジ、トーストオーク。
味わいは、砂糖漬けの柑橘、アプリコット、麦芽糖、マジパン、ココナッツ。 そこに、ほのかな塩味とフローラル。
大きな主張ではなく、層が一枚増えた印象です。
ブルックラディのシグネチャーであるミネラル感と花のニュアンスは残したまま、果実の熟度が上がっているようにも読めます。
料理人として思うこと
このタイプのウイスキーは、食前にも食後にも置ける立ち位置です。
家なら、白身魚のカルパッチョや、柑橘を使った前菜と。 バーなら、あえて何も添えず、静かにストレートで。 レストランなら、軽めのデザートと並べても面白い。
ピートに寄せないアイラという選択肢が、 もう一段落ち着いた、という印象です。
まとめに代えて
ノンエイジから10年へ。 それは熟成期間の変化というより、蒸留所の時間が可視化された出来事に見えます。
ブルックラディはこれまでも、自らの立ち位置を丁寧に示してきました。 今回のリニューアルも、その延長線上。
慌てて評価を決めるより、 まずはグラスに注いで、以前のクラシック・ラディと並べてみる。 そんな向き合い方が、ちょうどいいのかもしれません。



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