ヘブリディ諸島アイル・オブ・ティリー蒸留所、2世紀ぶりの合法シングルモルトウイスキーを発売

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スコットランドのヘブリディ諸島に位置するティリー島で、2世紀以上にわたり待望されていた合法的なシングルモルトウイスキーがついに発売されました。

この歴史的な瞬間を実現したのは、トラッド・フォーク・ミュージシャンであるアラン・キャンベル氏とイアン・スミス氏が2012年に設立したティリー・ウイスキー・カンパニー・リミテッドです。

同社は、ティリー島のウイスキー遺産を保護・促進しながら、蒸溜所の復活に取り組んできました。

ティリー島のウイスキー遺産

ティリー島は、かつてゲール語で「大麦の地」を意味する「Tìr an Eòrna」として知られ、1800年代以前には50以上の違法な蒸溜所が存在していたと言われています。

ところが、その後の規制や産業構造の変化により、これらの蒸溜所は姿を消し、ティリー島には長らく合法的なウイスキー蒸溜所が存在しませんでした。

他のヘブリディ諸島がウイスキー産業を維持・発展させる一方で、ティリー島はその伝統を失ってしまったのです。

そんな中、キャンベル氏とスミス氏は、島のウイスキー遺産を現代に蘇らせるべく、2019年にアイル・オブ・ティリー蒸留所を設立。

島の歴史において重要な節目となるこの年、彼らはスコットランド最小級のスチルに火を灯しました。

これにより、ティリー島でのウイスキー製造が200年以上の時を経て復活したのです。

初リリース「アイル・オブ・ティリー」シングルモルト

今回発売された「アイル・オブ・ティリー」シングルモルト・スコッチウイスキーは、限定800本のみの生産です。

そのうち、400本は事前販売されており、2時間で400本が完売したそうです。

価格は1本あたり199.99ポンドとなっており、希少性の高さが注目されています。

また、初回生産分のうち10本は1月31日からオークション形式で販売される予定で、その売上の10%は島の慈善団体に寄付されることが決定しています。

地元経済と観光への貢献

共同設立者のイアン・スミス氏は次のように語っています。

「これは、かつて島の生活の重要な一部であったウイスキー産業を再び島と結びつける、歴史的に重要な瞬間です。地元に雇用を創出するだけでなく、私たちの蒸溜所が世界中から観光客をティリー島に呼び寄せるきっかけになることを期待しています。」

一方、共同設立者のアラン・キャンベル氏は、

「私たちは、島の蒸溜所の伝統から深いインスピレーションを受けて育ちました。そして、最も伝統的な製法を用いてウイスキーを製造しています。穀物、水、火、重力といった基本的な要素を最大限に活用し、自然の力を感じさせる一杯を提供します」

と述べています。

蒸溜所の未来

「アイル・オブ・ティリー」は、地元の自然と歴史を反映したウイスキーであり、単なる飲料以上の価値を秘めていることでしょう。

伝統を守りながら現代の消費者に新たな体験を提供する試みとして評価されています。

アイル・オブ・ティリー蒸留所の設立は、地域の経済振興と観光産業の発展が目的。

今後の展開が期待されています。

島の伝統を未来へ繋げるこの挑戦は、ウイスキー愛好家だけでなく、歴史や文化に関心を持つ人々の注目を集めることでしょう。

ヘブリディ諸島の中でも新たなウイスキー産地としての存在感を高めるティリー島が、これからどのようにその名を広めていくのか、非常に楽しみです。

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この記事を書いた人

Yasui Youheiのアバター Yasui Youhei ウイスキープロフェッショナルの資格を持つシェフ

私は、ウイスキープロフェッショナルの資格を持つシェフです。ウイスキーの魅力を一人でも多くの人に広めたいと思い、ブログを開設しました。|TWSC審査員|ウイスキー文化研究所認定ウイスキーコニサー|調理師|1児のパパ

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