アメリカン・シングルモルト・ウイスキーの世界は、いままさに注目を集める新興ジャンルです。
2023年12月、アメリカのアルコール・タバコ税貿易局(TTB)がこのスタイルを正式なウイスキーのカテゴリーとして認定したことで、多くのウイスキーファンやバーテンダーたちが関心を寄せています。

そんな中、ネバダ州の小さな町ミンデンからミンデン・ミル・ディスティリングが登場。
TTBの認定直前に初のアメリカン・シングルモルトを市場に投入し、話題となっています。
ミンデン・ミル・ディスティリングとは?
ミンデン・ミルは2019年創業のシングルエステート蒸溜所で、レイク・タホからおよそ32キロ東のネバダ州ミンデンに位置します。
蒸溜所からわずか5キロ圏内の自社農場で穀物を育てる「グレイン・トゥ・グラス」哲学を徹底しており、原材料から製品までを一貫して製造。
マスター・ディスティラーのジョー・オサリバン氏は、アメリカン・シングルモルトの先駆者として知られるスティーブ・マッカーシー氏のもとで修業を積んだ人物です。
現在は、エステート・ウイスキー・アライアンスの一員として、ケンタッキー大学とも連携しながらエステート・グロウン・ウイスキーの価値を広めています。
また、同じネバダ州にある著名なフレイ・ランチ蒸溜所とも協力関係にあり、サステナブルな蒸溜を実践中です。
ウイスキーのスペック
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | ミンデンミル・アメリカン・シングルモルト |
生産地 | アメリカ・ネバダ州ミンデン |
蒸溜所 | ミンデン・ミル・ディスティリング |
原料 | 100% モルト大麦(自家栽培) |
熟成樽 | オロロソ・シェリー樽、元バーボン樽、新樽アメリカンオーク |
熟成年数 | 5年 |
アルコール度数 | 47% |
特徴的な香味 | ストーンフルーツ、砂糖漬け柑橘、クローブ、ナツメグ、アーモンド、バニラ、トースト感 |
価格 | 約60ドル(元の金額:約9,000円) |
味わいの魅力
このボトルをグラスに注いだ瞬間、ストーンフルーツと砂糖漬けの柑橘類の芳醇なアロマが広がります。
オロロソ・シェリー樽やアメリカンオーク樽由来のバニラとオークの香りがバランスよく重なり、複雑さを感じさせます。
口に含むと、まずクローブの刺激的な風味が立ち上がり、まるで力強いダンクシュートのように味覚を揺さぶります。
次第にナツメグやベーキングスパイスの温かく柔らかい層が広がり、アーモンドのニュアンスがトースティな余韻を引き立てます。
カクテルとの相性
このミンデンミルのアメリカン・シングルモルトは、ストレートで飲んでも深い満足感を与えてくれる一本ですが、カクテルベースとしても非常に有用です。
特にアルコール度数47%というしっかりした構成は、ブールヴァルディエやオールド・パルのようなクラシックなカクテルにおけるライ・ウイスキーの代替としても好相性です。
さらに、寒い季節にはアイリッシュ・コーヒー風に使うのもおすすめ。
ほんのひと手間で、日常に特別なひとときをもたらしてくれるでしょう。
忍耐とこだわりが生んだ1本
2019年の創業以来、すぐに販売せず、5年間の熟成を経てようやく市場に登場したこのウイスキーは、ミンデンミルの品質へのこだわりと、確かな哲学の証といえます。
アメリカン・シングルモルトというジャンルがようやく法的な後ろ盾を得たことで、こうした個性的で意欲的な製品が今後さらに注目を集めていくことでしょう。
まとめ
ミンデン・ミル・アメリカン・シングルモルトは、アメリカン・シングルモルトの魅力を新たな視点で提示する、手頃でありながら高品質な一本です。
カクテルに使っても、そのまま飲んでも、深みのある味わいを楽しめるこのウイスキーは、今後さらに人気が高まること間違いなしです。
記事の要点まとめ:
- アメリカン・シングルモルトが正式なカテゴリーとして認定
- ミンデン・ミルはネバダ州の自社農場を持つシングルエステート蒸溜所
- マスター・ディスティラーはジャンルの創始者に学んだ実力派
- 自社栽培麦芽を使用し、5年熟成でリリース
- フルーティーでスパイシーな香味が特徴
- ストレートでもカクテルでも楽しめる万能ウイスキー
- 価格は約60ドル(元の金額:約9,000円)
現在日本での発売は未定となっておりますが、もし正規輸入されることとなったら注目の的となるかもしれません。
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