CLSAがエンペラドール株を格下げ|ウイスキー需要低迷と関税懸念を背景に

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世界市場の逆風を背景に投資判断を見直す動き

大手証券会社CLSAは、フィリピン証券取引所上場の酒類メーカー、エンペラドール(Emperador Inc.)の投資判断を「ホールド」から「アンダーパフォーム」に引き下げました。これは世界的なウイスキー需要の低迷と、特に米国向けスコッチ輸出に対する関税の影響を反映したものです。

投資家にとっては、国際貿易環境や消費トレンドの変化を織り込んだリスク分析が重要となる局面です。


目次

「なぜ格下げされたのか?」

CLSAのレポートによると、エンペラドールのウイスキー事業は、世界的な需要の伸び悩みと米国市場での10%関税により利益率が圧迫される見込みです。

このため、同社は2025年と2026年の業績予想をそれぞれ18.5%、29.1%下方修正しました。加えて、目標株価も従来の17.00フィリピンペソから6.61フィリピンペソへと、実に61%以上引き下げています。


CLSAレポートの要点と背景

世界的なウイスキー需要の低迷

近年、ウイスキー市場は成長を続けてきたものの、2024〜2025年にかけて一部地域では需要の伸びが鈍化しています。特に中国市場や欧米市場の景気減速、消費者の健康志向の高まりなどが逆風要因です。

エンペラドールはスコッチブランド「ダルモア」「ジュラ」を擁しており、高価格帯輸出に依存する面があります。需要鈍化は売上や利益率に直結します。

米国市場向け関税の影響

米国による10%の関税は、スコッチウイスキーの輸出コストを直接引き上げ、競争力を低下させます。これにより利益率の低下は避けられず、輸出戦略の見直しが迫られます。

エンペラドールのスコッチ事業は国際市場が中心であるため、この関税問題は大きな経営課題です。

フィリピン国内事業の状況

一方で、同社のブランデー事業はフィリピン国内の裁量的支出の回復により、ある程度の成長が見込まれます。ただしCLSAは「若者の健康意識の高まり」が中長期的な成長を抑制する可能性を指摘しています。


格下げの詳細と数値情報

項目以前の予想新たな予想
投資判断ホールドアンダーパフォーム
目標株価17.00フィリピンペソ6.61フィリピンペソ
2025年業績予想修正-18.5%下方修正
2026年業績予想修正-29.1%下方修正
PER算出基準2026年PER 14.7倍

CLSAは「新たな評価手法」に基づき、目標株価を大幅に引き下げたと説明しています。


投資家への提案

ウイスキーをはじめとする酒類メーカーは、国際貿易の動向や消費者トレンドの影響を強く受けます。エンペラドールは、スコッチ輸出というビジネスモデルが関税リスクに直撃する脆弱性を抱えています。

投資を検討する場合、以下のポイントを精査することをおすすめします。

  • 関税・貿易摩擦への対応力
  • ブランドポートフォリオの多角化戦略
  • 国内市場の成長余地とリスク
  • 健康志向トレンドへの適応力

まとめ

CLSAによるエンペラドール株の格下げは、国際的なウイスキー需要の低迷と米国関税という二重の逆風を反映しています。スコッチブランドを有する強みが、貿易リスクに対しては弱点にもなり得ることを示す事例です。

記事のポイントまとめ(箇条書き)

  • CLSAがエンペラドール株を「ホールド」→「アンダーパフォーム」に格下げ
  • 目標株価を17.00→6.61フィリピンペソに大幅引き下げ
  • 米国市場の10%関税でスコッチ輸出の利益率が低下
  • 世界的なウイスキー需要の鈍化を背景に業績予想も大幅下方修正
  • 国内ブランデー事業は回復期待も、健康志向がリスク要因

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この記事を書いた人

Yasui Youheiのアバター Yasui Youhei ウイスキープロフェッショナルの資格を持つシェフ

私は、ウイスキープロフェッショナルの資格を持つシェフです。ウイスキーの魅力を一人でも多くの人に広めたいと思い、ブログを開設しました。|TWSC審査員|ウイスキー文化研究所認定ウイスキーコニサー|調理師|1児のパパ

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