スペイサイドの象徴、グレンフィディックが、ポートフォリオ全体にわたるパッケージ刷新を発表しました。2026年4月から世界展開される新デザインは、139年の歴史を背景にしながら、より現代的な輪郭を与えるものになっています。
そんなメッセージが、静かに伝わってきます。
1960年代へのまなざし
今回のデザインは、1960年代のパッケージから着想を得たとされています。あの時代は、シングルモルトという存在を世界に押し出していった転換点でもありました。
象徴的な雄鹿のマークはより洗練され、蒸留所創業年である1887年を囲む構成に。ワードマークは英国的なサンセリフ体へと整理されています。
どこかレトロでありながら、過度に懐古的ではない。そのバランス感覚が今のグレンフィディックらしさにも見えます。
家族経営という物語の強調
ブランドを所有するグレンフィディックは、いまも家族経営を貫いている数少ない大手のひとつです。
新パッケージにはグラント家の紋章と「Stand Fast」のモットーが刻まれています。変化を打ち出しながら、根は動かさない。
この二層構造こそ、今回の刷新の本質かもしれません。
料理人は“変えていない”部分を見る
ニュースとしてはデザインが主役ですが、個人的に気になるのは「中身はそのまま」という一文です。
パッケージを変えるという行為は、価格帯や立ち位置の微調整と隣り合わせになりやすい。けれど今回は、ハウススタイルは守ると明言しています。
長く続く定番ほど、味を変えない勇気が必要です。そこに自信があるからこそ、外側を動かせる。そんな順番に見えます。
F1との並走という演出
新ビジュアルは、アストンマーティンとのパートナーシップの中でも披露されています。
モータースポーツのスピード感と、139年の蒸留の時間。その対比は分かりやすい演出です。
ただ、そこに過剰な若返りの焦りは感じません。あくまで“並走”という距離です。
食卓で考えるなら
家で開けるなら、特別なペアリングは不要かもしれません。
週末なら、塩気の効いたナッツやハードチーズ程度で十分。
店で出すなら、定番のハイボールやストレートを、グラス選びで少しだけ遊ぶ。
派手なアレンジより、「変わらない安心感」を際立たせる方が、このタイミングには合っていそうです。
まとめ:象徴を磨くという選択
大胆な刷新、と言われていますが、実際に見えてくるのは“整え直し”に近い印象です。
ブランドの顔を磨き、過去と現在を一本の線でつなぐ。
ラグジュアリーの表現は時代ごとに揺れますが、雄鹿のシルエットは残る。そのこと自体が、グレンフィディックの立ち位置を物語っているようにも見えます。
評価は急がなくていい。
棚に並んだ姿を眺めて、何が変わり、何が変わっていないのか。その違いを考える時間こそ、今回のニュースの楽しみ方かもしれません。



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