熟成年数に囚われない「ノンエイジ」の奥深い魅力とおすすめのウイスキー銘柄

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ウイスキー用語で、熟成年数の表記がないボトルの事を「ノンエイジ」と言います。

ノンエイジは、熟成年数が短い原酒で作られたリーズナブルなウイスキーというイメージが強いと思いますが、実はそれだけではありません。

そしてクラフト蒸留所が増えた昨今、ウイスキーファンの中で「ノンエイジ」のウイスキーが注目されています。

今回は、ノンエイジの魅力や特徴について解説していこうと思います。

目次

ノンエイジウイスキーとは?

ウイスキーは、「○○12年」、「○○18年」のように年数表示がされていることが多いですが、ノンエイジウイスキーは年数の表記がないボトルの事を言います。

代表例
  • ジョニーウォーカー レッドラベル
  • デュワーズ ホワイトラベル
  • サントリー 角瓶
  • ジェムソン スタンダード
  • グレングラント アルボラリス
  • ジャックダニエル ブラック No.7

ブランドの中で最も低価なボトルは、ほとんどノンエイジとなっています。

そのため「熟成年数を記載したくないほど若い原酒が使われている」と勘違いされがちです。

ところが、若い原酒のみで構成された安いノンエイジボトルは一部だけ。

実は、超長期熟成の原酒を使用している高級なノンエイジウイスキーもあります。

熟成年数にとらわれない自由なウイスキー=ノンエイジ」と言えるでしょう。

ウイスキーのエイジング(熟成)

ノンエイジの詳しい解説の前にウイスキーの熟成についておさらいしていきましょう。

ウイスキーは、蒸留したあと木製の樽に詰めてゆっくりと熟成させることで、琥珀色で芳醇なお酒となります。

スコッチやアイリッシュなど主要なウイスキーの産地では3年以上の熟成が必要ですが、3年以上熟成させることが一般的です。

熟成年数の異なる原酒をブレンドし製品化しますが、使われた原酒の最低熟成年数が熟成年数の表記となります。

例えば……

5年・10年・15年の原酒をブレンド○○5年
3年・30年の原酒をブレンド○○3年

なぜ「ノンエイジ」?

ブレンドに使われた最も熟成年数の短い原酒がラベルに表記される熟成年数です。

仮に30年熟成のウイスキーと3年熟成のウイスキーをブレンドしたら年数表記は3年となります。

せっかく30年物のウイスキー原酒を使用しているのに、表記が3年では30年の長期熟成の原酒の魅力が伝わりにくいです。

また、短期熟成の原酒をメインに使用した安価なウイスキーでも、数年程度の熟成年数が記載されたボトルは商品価値が低く感じてしまいます。

ラベルに熟成年数を表記しないことで、熟成年数に囚われないウイスキーの楽しみ方ができるでしょう。

ノンエイジの魅力
  • リーズナブルでコスパがいい
  • 自由度が高い
  • 熟成にとらわれず、質が楽しめる

リーズナブルでコスパがいい

ウイスキーは熟成と共に価値が上がっていきます。

その理由は、原酒の希少性が増すことと熟成中は年を重ねるごとに減少していくからです。

逆に若い原酒を使えばリーズナブルな価格で販売することができますが、若い熟成年数が表記されていると購入時に選ばれにくいことがあります。

ブレンドによって万人受けしやすく飲みやすい味わいに仕上げたとしても、10年以下の熟成年数では荒々しいスピリッツというイメージを与えてしまうでしょう。

熟成年数に囚われないノンエイジなら、若いイメージを与えることなくウイスキーをお楽しみいただけます

自由度が高い

ノンエイジボトルは、熟成年数に囚われないことで表現の自由度が高いことが特長です。

年数表示がされているボトルの方が魅力的に感じやすいですが、年数表示が足かせとなってしまうことがあります。

「12年」の表記の場合、12年以上熟成させた原酒しか使用することができません

ところが年数表示をしないことで、幅広い原酒を使用することができます。

特に長期熟成のウイスキーは盲目的に「美味しい」だろうと思うかもしれませんが、ピークを過ぎたウイスキーは美味しくはありません。

過熟のウイスキーは、テイスティングレビューで「アンティーク家具」や「ニスを塗った木材」などと表現されます。

ところが、過熟なウイスキーも若い原酒と組み合わせることで、お互いに引き立てあうことがあるのです。

ノンエイジウイスキーの中には、超長期熟成など希少な原酒と短期熟成の原酒をブレンドしている銘柄もあります。

代表例
グレングラント ファイブディケイズ1960年代・1970年代・1980年代・1990年代・2000年代の原酒をそれぞれブレンド
グレンモーレンジィ シグネット蒸留所の最も古い希少な原酒とチョコレートモルトの原酒を使用
宮城峡 リミテッドエディション 2019蒸留所のファーストドロップ(初めて蒸留された原酒)を含めて、5つの年代違いの原酒を使用

過熟な原酒だったとしても、長期熟成させたものは魅力的に感じます。

長期熟成の魅力を残しつつ味わいの良さも表現できるのは、ノンエイジの大きなメリットと言えるでしょう。

またストーリー性の表現もしやすいため、周年記念ボトルで「ノンエイジ」が採用されることもあります。

熟成にとらわれない

敢て熟成年数を記載していないことで、熟成が与える価値ではなく一つの作品として楽しむことができます。

○○12年と書かれたウイスキーの場合、どうしても12年熟成であることが先入観として残ってしまうでしょう。

ところが、前記したように12年以上熟成した原酒が使われているため、もっと長期熟成の原酒が使われていることがあります。

さらに、短期熟成でも質のいいウイスキーは多いです。

ノンエイジは、熟成年数という先入観なくウイスキーの本質の味わいを楽しむことができるボトルなのかもしれません。

おすすめのノンエイジウイスキー

上で紹介したように、「ノンエイジ」にはさまざまなランクの銘柄があり、値段も使われている原酒の希少性もバラバラです。

  • 万人受けを狙って「価格」と「ライトさ」を重視したもの。
  • マニアの入り口として「程よい価格帯」と「クセ」を重視したもの。
  • マニア向けの「高級でラグジュアリーさ」・「希少性」を求めたもの
  • 「蒸留所が一番作りたい味」を求めたもの

などなど

オフィシャルのスタンダードボトルから限定ボトルやスモールバッチなど様々です。

ウイスキー自体、長期熟成だからいいウイスキーではありません

長期熟成の原酒の方が樽のニュアンスが強く出ていることが多いので、短期熟成とブレンドすることで深みと程よい個性のある最高のウイスキーが生まれることもあるのです。

このように、「ノンエイジウイスキー」は意外と奥の深い世界です!!

グレングラント アルボラリス

ジャンルシングルモルト
生産国スコットランド・スペイサイド
アルコール度数40%
バーボン樽とシェリー樽
熟成年数ノンエイジ

グレングラント蒸留所180周年を記念してリリースされたノンエイジタイプのシングルモルトウイスキー。

アルボラリスは、ラテン語で「木漏れ日」の意味で、その名の通り明るい色合いと華やかでライトなテイストが特徴です。

蒸留所のヴィクトリアガーデンに差し込む木漏れ日からインスピレーションを得てつくられました。

バーボン樽とシェリー樽で熟成された原酒を使用。

それぞれの特性を生かしてブレンディングされています。

グレンスコシア キャンベルタウンハーバー

ジャンルシングルモルト
生産国スコットランド・キャンベルタウン
アルコール度数40%
1stフィルのバーボン樽
熟成年数

グレンスコシアは、かつて「世界のウイスキーの首都」と言われたキャンベルタウンで今もなお稼働している蒸留所です。

100%1stフィルのバーボン樽を使用し、港町のキャンベルタウンの潮風が漂うシングルモルトウイスキー。

フルーティで柔らかい口当たりにコクのあるフレーバー、ソルティなアクセントのある余韻が特徴

ストレートからハイボールまで幅広くお楽しみいただけるリーズナブルなシングルモルトです。

エックス バイ グレンモーレンジィ

ジャンルシングルモルト
生産国スコットランド・ハイランド
アルコール度数40%
バーボン樽
一部ニューチャーオーク樽
熟成年数

ハイボールやカクテル、ミックス用のシングルモルトとしてリリースされたグレンモーレンジィ蒸留所の定番ボトル「X by グレンモーレンジィ」。

ブランドコンセプトのXは、「MixのX」「X Factor(未知数)のX」「組み合わせのX」を意味で、無限大の可能性を秘めています。

繊細な柑橘の香りにバニラ香、スイートでリッチなテイスト、軽快な口当たりが特徴

クセのない味わいでシングルモルト入門の一本としてもおすすめです。

ブルックラディ クラシックラディ

ジャンルシングルモルト
生産国スコットランド・アイラ
アルコール度数50%
バーボン樽、ワイン樽など
熟成年数

アイラ島の湧き水やスコットランド産大麦100%使用などテロワールにこだわるブルックラディ蒸留所のフラグシップボトル。

アイラ島ながらノンピートで作られており、フルーティでフローラルなエレガントさが特徴です。

アルコール度数50%とハイプルーフですが、口当たりがなめらかで奥深い余韻がお楽しみいただけます。

によりストレートやロック、ハイボールなど幅広く活躍できる一本です。

フェイマスグラウス ザ・ネイキッドモルト

ジャンルブレンデッドモルト
生産国スコットランド
アルコール度数40%
1stフィルシェリー樽でフィニッシュ
熟成年数

フェイマスグラウスの人気銘柄”ザ・ネイキッドグラウス”の後継商品としてリリースされた”ザ・ネイキッドモルト”。

厳選されたモルトウイスキーをブレンドし、1stフィルのシェリー樽で6か月以上フィニッシュさせています。

豊かなフルーツ香にリッチで芳醇な味わい、ビターチョコとほのかなスモークの余韻が特徴

晩酌用からプレゼント用にもおすすめしたい一本です。

ジェムソン スタウトエディション

ジャンルブレンデッドウイスキー
生産国アイルランド
アルコール度数40%
バーボン樽
シェリー樽
スタウトビール樽
熟成年数

ジェムソン スタウトエディションは、スタウトビール(黒ビール)の樽でフィニッシュさせたアイリッシュブレンデッドウイスキーです。

ジェムソンの熟成樽を地元クラフトビール醸造所「Eight D Brewing」で作られたスタウトビールの熟成に使用。

その樽で再びジェムソンを追加熟成させています。

原酒由来の爽やかでフルーティな香りにチョコレートやナッツのような甘みや香ばしさが特徴

スタウトビールは、アイルランドで有名なビアスタイルの一つで、自国にこだわるジェムソンらしい一本です。

JAMESON (ジェムソン)
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ティーリング スモールバッチ

ジャンルブレンデッドウイスキー
生産国アイルランド
アルコール度数46%
ラム樽フィニッシュ
熟成年数

アイルランドのダブリンに拠点を置くインディペンデントボトラー”ティーリング社”の少量生産限定ブレンデッドウイスキーです。

アイリッシュモルトとアイリッシュグレーンをブレンドし、ニカラグアのラム樽でフィニッシュ。

ノンチルフィルタード、アルコール度数46%でボトリングされています。

滑らかな口当たりに甘くウッディな香り、スパイスの余韻が特徴

ラム樽熟成による魅惑的な甘い香りがお楽しみいただけます。

富士山麓 シグニチャーブレンド

ジャンルブレンデッドウイスキー
生産国日本
アルコール度数50%
熟成年数

富士御殿場蒸留所が追求する理想の味わいを熟成のピークを見極めた原酒で実現させたフラグシップウイスキー。

同蒸留所自慢の3タイプのグレーン原酒

  • バーボンタイプ(ヘビー)
  • カナディアンのフレーバリングウイスキーに近いタイプ(ミディアム)
  • スコッチグレーンタイプ(ライト)

に加えて華やかなモルト原酒をバランスよくブレンドしています。

コクのあるバニラの甘い香りに華やかでスムースな味わいが特徴。

まったり家で飲みたいおすすめの甘口ウイスキーです。

ジャックダニエル ゴールド

ジャンルテネシーウイスキー
生産国アメリカ・テネシー州
アルコール度数40%
新樽・メープルウッドの樽
熟成年数

ジャックダニエル ゴールドはチャコールメローイング製法(メープルウッドの炭でろ過)を行い新樽で熟成。

その後さらにメープルウッドの樽で追加熟成させ、もう一度チャコールメローイング製法を行っています。

通常のジャックダニエルより2倍の手間をかけたプレミアムボトルです。

ラベルには通常のブラックが「No.7」と記載されていますが、ゴールドは「No.27」となっています。

バニラやメープルウッドの甘美で上品な甘い香味とシルクのようななめらかな口当たりが特徴。

ジャックダニエルの定番ラインナップの中では最高位のボトルとなっています。

ウエストランド アメリカンシングルモルト

ジャンルシングルモルト
生産国アメリカ・シアトル
アルコール度数46%
新樽
1stフィルバーボン樽
1stフィルシェリー樽
2ndフィルシェリー樽
熟成年数3年4か月以上

ワシントン州シアトルからアメリカンウイスキーにシングルモルト市場の開拓をしてきたウエストランド蒸留所

10年以上にわたる取り組みの集大成として誕生したフラグシップボトルが、「ウエストランド アメリカンシングルモルト」です。

ナッツやチョコレートのようなコクのある香りに甘くなめらかな口当たり、深い余韻が特徴

スコットランドのモルトウイスキー造りに忠実ながら、アメリカのフロンティア精神を持ち合わせたシングルモルトです。

カバラン クラシック

ジャンルシングルモルト
生産国台湾
アルコール度数40%
バーボン樽、シェリー樽、プレーンオーク樽など
熟成年数

台湾に誕生し、本場スコットランドでも認められたシングルモルト「カバラン

カバランシングルモルトの一作目であり、スタンダードな入門ボトルがクラシックです。

バーボン樽、シェリー樽、プレーンオーク樽など厳選した樽で熟成された原酒を使用しています。

マンゴーのようなトロピカルフルーツやバランスのとれたコクのある風味が特徴

フルーティ系ウイスキーなら絶対に外せない一本です。

最後に……

最後まで読んでいただきありがとうございます。

今回のお話いかがだったでしょうか。

今回は、「ノンエイジ」のウイスキーについてまとめてみました。

近年ウイスキーはそのものの味より「希少性」が注目されがちです。

でもウイスキーの「希少性」なんて些細なもの。

それに囚われすぎず、ウイスキーを嗜んでみたらもっと楽しいと思います!!


「熟成年数」や「希少性」にとらわれず楽しんでみるとウイスキーはもっと広い世界を見せてくれます。

固定概念にとらわれず、ウイスキーをお楽しみください。

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