ウイスキーに牡蠣は、定番の組み合わせ。
特にクセのあるスモーキーなアイラのモルトウイスキーと牡蠣は鉄板です。
本場スコットランド・アイラ島では、アイラモルトを生の牡蠣に垂らして食べることもあります。
一緒に食べると、牡蠣のうまみやミルキー感とアイラモルトの潮感、スモーキーフレーバーが絶妙です。
他にも牡蠣のオイル漬けや焼き牡蠣もウイスキーのおつまみとして優秀。
今回はウイスキーに合う『牡蠣』について、ウイスキーを愛する料理人が「なぜ合うのか?」を分析してみました
牡蠣とウイスキー
「牡蠣」はお酒のおつまみとして優秀。
日本酒も、焼酎もいいですし、シャブリのような辛口の白ワインも絶品ですが、ウイスキー好きとして特に「アイラモルト」がおすすめです。
アイラモルトのスモーキーさとミルキーでうまみの強い牡蠣の相性は抜群。
なぜこんなに合うのか、料理人目線から分析していこうと思います。
なぜ牡蠣とウイスキーが合うのか!?
- テロワール的な考え
- 橋渡しとなっている「磯っぽさと潮感」
- 「うまみ成分」の相乗効果
- タイプの違う「苦味」
- 酸味が「牡蠣」と合う
料理の組み立てを考える方法で分析してみました。
一つ一つなぜこう考えるのかを解説していこうと思います!
テロワール的な考え
現地のアイラ島では、生ガキにボウモア を垂らす食べ方が有名です。
アイラ島はウイスキー以外に海産物も名産で、特に牡蠣が特産物となっています。
フードペアリングを考える上で、名産物同士は合いやすい傾向があります。
似た成分があったり、近い味わいがあったりすることが合いやすい理由としてあげられるでしょう。
欲を言えばスコットランド・アイラ島産の牡蠣がいいと思いますが、日本では手に入りません。
現地産のものと比べると少し合いにくさがあると思いますが、同じ食材の組み合わせは相性がいいことが多いです。
特に寒い地方の牡蠣はミルキー感が強いものが多く、北海道産の牡蠣とウイスキーのペアリングは最高です。
ミルキー感とスモーキーフレーバーは相性よく、アイラモルトは塩っぽさもマッチする要因なのではないでしょうか。
料理を組み立てるときの考え方で分析
料理人が新しい料理を考えるとき、頭の中で素材の味の分解を行います。
分解し、
- 「これに近い味があるから、それに合う食材を組み合わせてみよう。」
- 「この味なら、こう調理してこの食材を合わせた方がメイン食材が引き立つ。」
といった感じで新しい料理を作っていきます。
僕ら料理人は分解と再構築ってかっこよく言うよ
素材の味を分解の時の感覚で、『牡蠣の味わい』について分解してみると……
- 磯っぽさ
- ヨード香
- ミルキーさ
- 肝的な苦み
- 貝類独特のうまみ
- ミネラル
と自分なりに分解しました。
橋渡しとなっている「磯っぽさと潮感」
磯っぽさ・ヨード香はピートタイプのウイスキーと共通する香りや味わいです。
つまり磯っぽさ・潮感・ヨード香・正露丸のようなクセが牡蠣とウイスキーをつなげている要因です。
お互いに近い味わいが、橋渡しとなっていると思います。
「うまみ」の相乗効果
うまみ成分は合わせることで、相乗効果を生みます。
蒸留酒なので多くはないですが、実はウイスキーにも「うまみ」はあります。
麦芽由来、酵母由来、樽由来などさまざまに挙げられますが、うまみ成分は合わさるとうまみの相乗効果が生まれます。
ウイスキーと牡蠣を合わせたとき、牡蠣の旨味がより鮮明に感じると思ったことはないでしょうか?
つまりウイスキーのごく微量なうまみ成分が、牡蠣のうまみをより強くさせているのではないないかなと思います。
もちろんそれだけじゃなく、アルコールなどによって生臭さが感じにくくなり、望ましい香味が引き立ったと言えるかもしれませんが……。
タイプの違う「苦味」
タイプの違う苦み成分は打ち消しあう傾向があります。
「苦味」と「苦味」の組み合わせ。
あまり知られていませんが、実は大学の論文でも発表されていたり、昔からそういう組み合わせがあったり……。
代表的なところだと、
- コーヒーとチョコレート
- カンパリとオレンジ
- レバーとピーマン
などなど
牡蠣の「肝の苦み」がウイスキーに含まれる「アルコールの苦み」や「樽由来の苦み」で打ち消しあいより、旨味やミルキーさをダイレクトに感じられるようになったのかなと思います。
酸味が「牡蠣」と合う
牡蠣は酸味のあるものと合いやすいです!
牡蠣とブラッティメアリー(基本ウォッカとトマトジュースのカクテル)が合ったり、
ミネラル感と酸味が特徴の白ワインが合いやすかったりと……
酸味のあるお酒と牡蠣は合いやすい傾向があります。
そしてウイスキーの中にも、わずかながら酸味のあるものはあります。
例えば、牡蠣にい合いやすいウイスキー「ボウモア」は、フレッシュなフルーツを思わせる上品な甘みとほのかな酸味があります。
対して同じアイラモルトでも、ラフロイグやアードベッグは南国フルーツのもったりとした甘みが特徴。
ここがアイラ島の中では、ボウモアが最も合いやすい要因だと思います。
ちなみにカリラやポートシャロットも少し酸味を感じますので、ボウモアと同じように合いやすいと思います。
レモンのような香りを持っているウイスキーもあります。レモンの香りと牡蠣、想像しただけで合いそうですね。
牡蠣と合いやすいおすすめのウイスキー
ボウモア 12年
ジャンル | シングルモルト |
---|---|
生産国 | スコットランド・アイラ |
アルコール度数 | 40% |
樽 | ‐ |
熟成年数 | 12年 |
1779年創業でアイラ島最古の蒸留所であり、「アイラモルトの女王」とも呼ばれているボウモア。
ドライなスモーキーさとベリー系のフルーティな香り、ソルティな余韻が特徴。
熟成庫が海に面しており、潮風を含みながら熟成された原酒が一部使用されています。
牡蠣に合うウイスキーと言えば、やっぱりボウモア!
スモーキーさ、ソルティさ、フルーティさのバランスが最高。
タリスカー 10年
ボウモアより柔らかいスモーキーさの方がいい方はこっち!
ソルティさが強く、牡蠣にあいやすいよ
カリラ 12年
ボウモアよりドライで大人っぽいペアリングにしたければカリラがおすすめ!
ウイスキーを使った牡蠣料理
生牡蠣とウイスキー
【材料】
生食可能な牡蠣 | お好みの量 |
---|---|
ウイスキー(ボウモアがおすすめ) | お好みの量 |
【手順】
理想は殻付きの牡蠣ですが、ムキ牡蠣でも可。
必ず生食用の牡蠣にしてください。
ウイスキーはお好みの量で大丈夫ですが、5~10mlぐらいの方が牡蠣の香りも楽しめるのでオススメです。
牡蠣のウイスキー蒸し
【材料】
牡蠣 | 殻付きなら5個、ムキ牡蠣なら10個 |
---|---|
ウイスキー | 15ml |
水 | 適量 |
醤油 | お好みで |
【手順】
殻付きの牡蠣の場合、外の殻が汚れていることが多いので、しっかり洗ってください。
また、ムキ牡蠣を使用する場合も軽く水洗いしてください。
加熱用の牡蠣の方が味が出やすいのでおすすめです。
鍋に牡蠣を入れて、火にかけてウイスキーを投入し蓋をします。
殻付きの牡蠣の場合、牡蠣の殻の中から水が出てくることが多いので、そのままで蒸すことができます。
ムキ牡蠣の場合、少し水を足すと失敗しにくいです。
牡蠣のエキスを薄めたくないので、牡蠣の1/3が水分に漬かるぐらいにするといいでしょう。
蒸しあがったら、盛り付けてお好みで醤油をかけてください。
特に冷凍の牡蠣を使う場合は、醤油で味を足した方がいいでしょう。
逆に生のいい牡蠣を使用した場合は、牡蠣の塩気だけで十分な時もあります。
牡蠣のオイル漬け
【材料】
ムキ牡蠣 | 1p |
---|---|
牛乳 | 適量 |
塩 | 牛乳の3% |
醤油 | 小さじ0.5 |
オイスターソース | 小さじ0.5 |
オリーブオイル | 適量 |
【手順】
牡蠣は加熱調理用の方が味が出やすいためおすすめです。
一度軽く洗ってから、牡蠣が漬かるぐらい牛乳と牛乳の3%の塩を入れて一晩漬けておきます。
この処理をすると牡蠣の臭み抜きができ、プリっとクリーミーな味に仕上がるよ!
一晩漬けた牡蠣をザルにあけて、もう一度洗います。
そして。温めておいたフライパンで軽く火入れしながら、醤油・オイスターソースで軽く味をつけます。
醤油とオイスターソースはうまみ足し程度。塩味はついているので入れすぎ注意だよ。
牡蠣が漬かるぐらいオリーブオイルを入れて、一度沸かします。
この時にニンニクやドライトマト、スパイスなどを入れてアレンジするのもおすすめです。
しっかり冷ましたら完成です。
お好みで岩塩やクリームチーズ、ハーブなどを添えるとおしゃれです。
おすすめの海産物オンラインショップ
ぎっしり詰まったお得なパックのムキ牡蠣や燻製牡蠣、牡蠣の佃煮、牡蠣みそなどが購入できる山内鮮魚店。
時期によっては、生の殻付き真牡蠣も販売しています(11月以降)。
調理用の牡蠣を買いたいときや牡蠣のおつまみを買いたいときにおすすめです!
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