初めて「ピーティーなウイスキー」という表現を耳にしたとき、どのような香りや味を想像するでしょうか?
焚火や土、海、煙、薬品のようなアロマが混ざり合い、唯一無二の個性を放つのがピーティーなウイスキーの特徴です。
この記事では、ピーティーという香りとフレーバーに焦点を当て、その魅力と味わいの奥深さをわかりやすく解説します。
さらに、初心者にもおすすめできる銘柄や飲み方、楽しみ方も紹介。
ピーティ―なウイスキー選びの参考にしてください。
▶「ピート」について詳しくは『ピートとは?ウイスキーに欠かせないその魅力を徹底解説』の記事もあわせてご覧ください。

ピーティーな香りと味わいとは?
アロマとフレーバーの正体
ピーティーなウイスキーに漂う香りは、単なる煙臭にとどまりません。
ヨードを想わせる薬品香、湿り気を帯びた大地の匂い、潮風にさらされた海藻の風味、そして燻された木材の煙や正露丸のような独特のニュアンスが複雑に絡み合います。
これらはすべて、ピート(泥炭)を燃やして麦芽を乾燥させる工程で生じるフェノール化合物が由来です。
味わいにもこの個性は色濃く反映され、微かな塩味やスパイシーな刺激、重厚なスモーキー感として感じられることがあります。
スモーキーでありながら香水のように多層的で洗練されたこのアロマとフレーバーこそ、ピーティーウイスキーが持つ唯一無二の魅力といえるでしょう。
ピーティーとスモーキーの関係性
「ピーティー」と「スモーキー」は混同されやすい表現ですが、ピーティーはピート由来の香味全体を指し、スモーキーはその一部である煙っぽさに特化した表現です。
スモーキー=ピーティーではありません。ピーティーには土や薬品、ソルティなニュアンスまで含まれるため、より複雑で奥行きがあります。
フェノール値(ppm)を目安にすれば、どれだけピーティーなのかをある程度数値的に把握できます。
ピートの効き方で変わる個性
ピートの焚き方や使用量、さらには熟成環境によって、ウイスキーに与えるピーティーさは千差万別です。
たとえば、アードベッグのように力強いスモーキーさとヨード香を全面に出すスタイルもあれば、ボウモアのように花や果実と調和する繊細なピーティーさを演出するものもあります。
また、これらの違いはアロマの複雑さや余韻に反映され、飲み比べの楽しさを生み出します。
おすすめのピーティーウイスキー
日本のピーティーウイスキー
日本では余市蒸留所と白州蒸留所が代表的なピーティーウイスキーを生産しています。
余市のシングルモルトは、重厚なピート香とモルトの甘みが絶妙に調和しており、ジャパニーズウイスキーの中でも特に個性的な香り・味わいが特徴です。
白州蒸留所はすっきりとした爽やかな香りにスモーキーな後味が特徴で、穏やかな薫香が多くのウイスキーファンを魅了しています。
また、近年では秩父蒸溜所や三郎丸蒸留所、静岡蒸留所、厚岸蒸留所をはじめ、日本のクラフトディスティラリーでもピートを効かせた限定商品が登場。
国内でもピートの効いたウイスキーが増えており、選択肢が広がっています。
シングルモルト 余市

シングルモルト 白州

ブラックニッカ ディープブレンド

アマハガン ワールドブレンデッド ピーデッドエディション

スコットランドのピーティーウイスキー
スコットランド、特にアイラ島はピーティーウイスキーの聖地として知られています。
アードベッグやラフロイグ、ボウモアなど、世界的に評価される名門蒸留所が集中し、力強いスモーキーさと複雑な海風の香りが特徴です。
フェノール値が高く、ヨード香や焚き火のようなアロマが際立ちます。
ピーティーな世界を味わうなら、まずはスコッチウイスキーから始めるのが王道です。
ジョニーウォーカー ダブルブラック
ジャンル | ブレンデッドウイスキー |
---|---|
生産国 | スコットランド |
アルコール度数 | 40% |
樽 | ‐ |
熟成年数 | 12年以上 |
世界No.1スコッチウイスキーブランド”ジョニーウォーカー”。
ジョニーウォーカー ダブルブラックは、フラグシップボトルである「ブラックラベル12年」のスモーキーさをより際立たせたボトルです。
力強くフルボディ、バランスのいい味わいとスモーキーな余韻が特徴。
ストレートからハイボールまで幅広くお楽しみ頂けます。
スタンダードな「ブラックボトル」のブラッシュアップとしてもおすすめです。

ディーコン

アードベッグ 10年
ジャンル | シングルモルト |
---|---|
生産国 | スコットランド・アイラ島 |
アルコール度数 | 46% |
樽 | アメリカンオーク(バーボン樽) (1stフィル & 2ndフィル) |
熟成年数 | 10年 |
カルト的な人気を誇るアードベッグ蒸留所のフラグシップボトル。
バーボン樽で10年以上熟成された原酒を使用し、ノンチルフィルタード(冷却ろ過をしていない)・アルコール度数46%でボトリングされています。
アイラモルトらしい強烈なスモーキーフレーバーとトロピカルフルーツのような香り、繊細な甘みが特徴です。
2008年にはワールド・ウイスキー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。

ラフロイグ 10年

ラガブーリン 16年

ボウモア 12年
ジャンル | シングルモルト |
---|---|
生産国 | スコットランド・アイラ |
アルコール度数 | 40% |
樽 | ‐ |
熟成年数 | 12年 |
1779年創業でアイラ島最古の蒸留所であり、「アイラモルトの女王」とも呼ばれているボウモア。
ドライなスモーキーさとベリー系のフルーティな香り、ソルティな余韻が特徴。
熟成庫が海に面しており、潮風を含みながら熟成された原酒が一部使用されています。

オールドバーラントルーアン(オールドバランテュラン)

アイルランドのピーティーウイスキー
アイルランドのピーティーウイスキーは、スコットランドに比べて穏やかなピート感が特徴です。
カネマラやティーリング ブラックピッツなど、近年注目を集める銘柄が登場しており、華やかな甘みの中にやさしいスモーキーさが漂います。
初心者にも飲みやすく、アイリッシュ特有の三回蒸留による滑らかさも魅力。
エントリーモデルとしてもおすすめです。
カネマラ

ティーリング ブラックピッツ

その他の国のピーティーウイスキー
近年では日本をはじめ、スウェーデンや台湾、アメリカなど世界各国でピーティーウイスキーが造られています。
たとえば、スウェーデンのマックミラや台湾のカバランでは、各国の気候を活かしたユニークな熟成とピートの融合が見られます。
多様な風土と技術が反映された個性的な1本に出会えるのが、他国産ピーティーウイスキーの醍醐味です。
アムルット ピーデッド
「インドの熱が育む、甘くスモーキーな誘惑」
南インド・バンガロール発、冷却濾過も着色も行わないこだわりの一滴。
乾いたピート香にスパイスと麦芽の甘みが重なり、スモークしたニシンやバタースコッチのような奥深い風味が広がるインディアン・シングルモルト。
糖蜜のような優しい甘さとスモーキーな余韻が織りなす、他にはない味わいをぜひ体感ください。

M&H エレメンツ ピーデッド

オマー ピーデッド
ジャンル | シングルモルト |
---|---|
生産国 | 台湾 |
アルコール度数 | 46% |
樽 | ‐ |
熟成年数 | ‐ |
「南国が育てた、華やかに香るスモーキー」
台湾・南投蒸溜所が贈るシングルモルト「オマー ピーテッド」は、ピート香の奥に広がるシトラスやトロピカルフルーツのアロマが魅力。
高温多湿な気候で熟成された原酒は、濃密でフルーティーな甘みとスモーキーさが見事に融合します。
世界的コンペティションで数々の金賞を獲得した、台湾ウイスキーの実力を感じる1本です。

賢い選び方と価格帯
ピーティーウイスキーは価格帯が幅広く、2000円台から1万円以上のプレミアム商品まで存在します。
初心者には3000円〜5000円程度で購入できる「ジョニーウォーカー ブラックラベル」や「ディーコン」などが手に取りやすいでしょう。
Amazonなどのオンラインショップや店舗でのレビューも参考になります。
フェノール値や蒸留所の情報、口コミ、テイスティングレビューを確認することで、自分好みの1本を見つけやすくなります。
ピーティーウイスキーの飲み方
グラス選びのポイント
香りを楽しむためには、ウイスキー専用のグラスを選ぶことが大切です。
特にチューリップ型のグレンケアングラスは、香りが集まりやすく、ピート香をしっかり感じられます。


テイスティングを意識する場合には、ストレートで味わうのがおすすめです。
もちろん、ロックやハイボールにしても独特の風味が楽しめます。
おすすめのペアリング
ピーティーな香りが楽しめるウイスキーは、その強い香りと風味から、ペアリングにも工夫が必要です。
スモークチーズやベーコン、燻製ナッツなどの燻製系の食材と相性抜群。
また、ダークチョコレートやカカオの濃いデザートも、ピート香と絶妙にマッチします。



個人的なおすすめは、ラフロイグのお湯割りとカマンベールチーズ!お湯割りにすることで甘みが引き立ち、濃厚なカマンベールとマッチするよ。
ピーティーな風味を邪魔しないおつまみを選ぶことが、楽しみ方のポイントです。
ピーティーウイスキーの楽しみ方
テイスティングイベントの開催
ウイスキー好きが集うテイスティングイベントでは、ピート感の違いを比較しながら楽しむことができます。
フェノール値の異なる銘柄を数種類用意し、感想を共有することで理解が深まるでしょう。
オンラインでの開催も増えており、自宅でも手軽に参加可能です。
自宅でのウイスキーセミナー
自宅でのウイスキーセミナーも人気です。
数本のウイスキーを用意し、香りや味わいを比較しながら学ぶスタイルは、初心者にも分かりやすいと好評。
動画配信やInstagramなどSNSを活用して、友人と共有しながら楽しむのも魅力だと思います。
好きな時間に開催できるので、自由度も高く継続しやすい方法です。
よくある質問
まとめ
ピーティーウイスキーは、独自のアロマとフレーバーによって多くのウイスキーファンを魅了し続けています。
ピートの香りの捉え方やフェノール値を理解することで、自分に合った1本を選びやすくなるでしょう。
飲み方やペアリング、テイスティング方法を工夫すれば、さらに深い味わいの世界が広がります。
初心者の方も、まずは手頃な価格帯から試してみて、自分の嗜好に合うピーティーウイスキーを楽しんでみてください!
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