【ウイスキー用語】「スパニッシュオーク」|魅力と楽しみ方について解説

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ウイスキーの世界では、熟成に使用される「樽」が風味を決定づける重要な要素となります。

なかでも「スパニッシュオーク」は、リッチでフルーティーな香りと深みのある味わいをもたらしており、特にシェリー樽熟成のウイスキーに使用されることで有名です。

今回は、スパニッシュオークの特徴や人気ブランドのウイスキーにどのような影響を与えるのかを解説します。

また、スパニッシュオーク熟成ウイスキーのおすすめの飲み方や購入方法についても紹介。

皆さまが自分に合った一杯を見つけるお手伝いさせていただきます。

目次

ウイスキー スパニッシュオークとは

スパニッシュオークとは何か

スパニッシュオーク(Quercus robur)は、主にヨーロッパ圏を中心に生育するオーク(ナラ)の一種です。

ヨーロピアンオークの代名詞であり、一般的にはコモンオークやヨーロッパナラと呼ばれております。

学名の「クエルクス・ロブール」のロブ―ル(Robur)には「硬い材」という意味で、樽以外にも木造船や家具などさまざまな用途で使われてきた木材です。

イギリスでは「樹木の王」、「森の王」と称されており、スペイン産のものを「スパニッシュオーク」、フランス・リムーザン産のものを「リムーザンオーク」と呼びます。

パニッシュオークは密度が高く、豊富なタンニンを含んでいることが特徴

熟成の過程でウイスキーに独特の甘みやスパイシーさ、渋みによるボディの厚さを与えます。

特にスペインの酒精強化ワインであるシェリー酒の樽に使われていたため、「スパニッシュオーク=シェリー樽」を指すことも多いでしょう。

ウイスキーにおけるスパニッシュオークの役割

ウイスキーの熟成樽には、スパニッシュオーク以外にもアメリカンオーク(Quercus alba)やフレンチオーク(Quercus petraea)が使用されますが、それぞれの特徴が異なります。

ホワイトオーク 学名:Quercus alba

北アメリカ北東部を中心に自生しているオーク材です。

主にバーボンの樽に使われており、そのままバーボン樽として様々なウイスキーの熟成樽に使用されています。

現在、ウイスキーの熟成樽として最も使われているオーク材です。

バニラやバナナのような華やかな香りが得られる特徴があります。

コモンオーク 学名:Quercus robur

ヨーロピアンオークの代名詞であり、イギリスでは「森の王」「樹木の王」と称されています。

古くからコニャックやブランデー、ワインの貯蔵用樽に使われており、スペインやフランスのリムーザン地方が有名な産地です。

スペイン産は「スパニッシュオーク」と呼ばれ、ウイスキーではシェリー樽によく使用されています。

タンニンが多く、複雑な味わいが得られることが特徴です。

セシルオーク 学名:Quercus petraea

コモンオークによく似た特徴を持つ木材で、ワイン樽でよく使用されてきました。

フランスが主産地で、フレンチオークと言えばセシルオークのことを指すことが多いです。

コモンオークのようにタンニンが多いですが、より香りが強い傾向があります。

ミズナラ 学名:Quercus mongolica

北海道や本州の標高の高いところに自生しているオーク。

ミズナラを使用した樽は、白檀や伽羅のような独特な香味を得ると言われており、日本やスコットランドなどを中心に注目されています。

ところが、ホワイトオークに比べて捻じれて生長することが多く、液漏れしやすいことが欠点

また、希少な木材となっているため、樽価格が高くなりやすいです。

スパニッシュオークは、特にリッチで芳醇なフルーティーさや、熟成に伴う深い甘みをもたらし、ウイスキーに複雑なニュアンスを加えます。

スパニッシュオーク=シェリー樽を指すことが多いように、シェリーの貯蔵に使われていた樽をスパニッシュオークということが多いです。

そのため、伝統的なシェリー樽のニュアンスをウイスキーに与える重要な役割を担っていると言えるでしょう。

ところが、元々スパニッシュオークは、シェリー酒の熟成に使われていた樽ではありません

スパニッシュオークとウイスキーの歴史

スパニッシュオークの樽は、もともとシェリー酒を英国へ輸送するために使用していた樽でした。

シェリー酒の熟成用の樽としては、タンニンが強くワインに多大な影響を与えてしまうため、熟成樽には使用されることはありませんでした。

熟成には、アメリカンオークやペルシアンオークが使用され、スパニッシュオークは「安価な地元産のオーク材」としてシェリー運搬用に使用されていました。

ところが、1980年代前半にシェリーの品質管理のため、シェリー酒を指定地域外で瓶詰めすることを禁止し、樽での輸送を禁止。

その結果、長年スコッチウイスキーを中心に使用されてきたシェリー樽は入手が困難となりました。

そのため、現在ではウイスキー業界が独自にスパニッシュオークの樽を用意

シェリー酒の醸造所でシェリー酒を一時貯蔵する「シェリーシーズニング」を行い、スパニッシュオークのシェリー樽を調達しております。

スパニッシュオークの香りと味わいの特徴

スパニッシュオークの樽で熟成されたウイスキーには、以下のような香りや味わいの特徴を与えることが多いです。

スパニッシュオークで熟成されたウイスキーの特徴
  • 香り:レーズン、ドライフルーツ、チョコレート、スパイス など
  • 味わい:リッチさ、濃厚さ、甘みとスパイスのバランス など
  • 余韻:ウッディな長い余韻、スパイシーな後味 など

スパニッシュオークが使用されたおすすめのウイスキー

マッカラン シェリーカスク 12年

ジャンルシングルモルト
生産国スコットランド
アルコール度数40%
シェリー樽
熟成年数12年

「豊かなシェリーの風味、マッカラン シェリーオーク 12年」

マッカラン シェリーオーク 12年は、スペイン産オロロソシェリー樽で熟成させたシングルモルトウイスキーです。

ドライフルーツやスパイス、チョコレートのような甘い香りと濃厚な味わいが特徴

オーク材の豊かな風味がバランスよく溶け合い、滑らかで深みのある余韻を楽しめます。

シェリー樽熟成のマッカランならではのリッチな味わいは、ウイスキー愛好家にとって定番の一杯です。

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グレンドロナック 12年

ジャンルシングルモルト
生産国スコットランド・ハイランド
アルコール度数43%
シェリー樽
熟成年数12年

1826年に創業した歴史のあるグレンドロナック蒸留所のフラグシップボトル。

シェリー樽熟成のエキスパートとも言われている蒸留所で、12年に使用されている原酒はすべてシェリー樽熟成です。

厳選された辛口シェリー樽と甘口シェリー樽が使用しております。

アンバーの深い色合いにナッツやドライフルーツのような甘く芳醇な味わいが特徴

樽のニュアンスがよく出たシェリー系ウイスキー入門の一本です。

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グレンファークラス 12年

ジャンルシングルモルト
生産国スコットランド・スペイサイド
アルコール度数43%
シェリー樽
熟成年数12年

「12年シングルモルトの理想形」といわれるボトルで、グレンファークラスのラインナップの中では最も人気のある銘柄です。

リッチでバランスの取れた味わいにドライフルーツのような芳醇なフルーティさが特徴

シェリー樽のニュアンスが表れており、シェリー系ウイスキー入門ボトルとしても最適です。

グレンファークラス
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山崎 スパニッシュオーク

ジャンルシングルモルト
生産国日本
アルコール度数リリースごとに異なる
スパニッシュオーク
熟成年数リリースごとに異なる

「スパニッシュオーク樽で熟成された濃厚な山崎」

スパニッシュオークは、アメリカンオークよりも多くのタンニンが溶け出すため、濃厚な香りと複雑な味わいをもたらすのが特徴。

スペイン北部の森で伐採されたオークを厳しい基準で製樽し、一定期間シェリー酒の貯蔵に使用した後に山崎のモルト原酒を寝かせてつくられた一本。

リリースごとに異なる特徴がありますが、スパニッシュオーク特有の濃縮感のある甘み、酸味、そしてリッチな果実香が山崎の芳醇な香味とマッチします。

複雑で芳醇な風味を楽しめる、ウイスキー愛好家におすすめの一品です。

スパニッシュオークの使用例

ウイスキー製造におけるスパニッシュオークの利用

スパニッシュオーク樽は、特にシェリー酒を貯蔵させた後にウイスキーの熟成に使われます。

ウイスキーに深みや複雑さを与えるキーモルトの原酒、限定リリースのコアファン向けのウイスキーに使われることが多いです。

スパニッシュオークによる効果は、ウイスキーにシェリーの芳醇な香りとフルーティーな甘さが加わり、材由来のタンニンがウイスキーに深みを与えてくれること。

現在は、スパニッシュオークの高騰や樽の調達コストの面から、熟成の全期間をスパニッシュオーク樽にすることは少なくなりました。

スパニッシュオーク樽は、カスクフィニッシュで使用されることが多くなっています。

スパニッシュオークとシェリー樽の違い

シェリー樽は、一般的にスペイン産のシェリー酒を熟成させるために使われた樽で、ウイスキーの熟成にもよく使用されます。

シェリー樽にはスパニッシュオーク(Quercus robur)製のものが多いですが、すべてのシェリー樽がスパニッシュオーク製というわけではありません。

アメリカンホワイトオーク(Quercus alba)で作られたシェリー樽もあり、それぞれの材質によってウイスキーに与える風味の違いが生まれます。

スパニッシュオーク豊富なタンニンを含んでいるため、レーズンやブラム、ダークチョコのような複雑な香味、スパイス感が与えられやすいです。
ホワイトオークバニラやココナッツなどの軽やかでクリーミーな風味にフルーティな香りが付与されやすい傾向があります。

また、スパニッシュオークは木材が硬く、長期間の熟成に適しているため、深みのある味わいをウイスキーにもたらすことができます。

アメリカンホワイトオークは比較的早い段階で香りが出やすく、短期間でフレッシュな風味が付与されやすいです。

このように、樽の材質が異なることでウイスキーの個性も大きく変わるため、スパニッシュオークやホワイトオークの特徴を知ることで、自分好みのシェリー樽熟成ウイスキーを選ぶ手助けになります。

スパニッシュオークウイスキーの楽しみ方

おすすめの飲み方とペアリング

スパニッシュオーク熟成ウイスキーは、飲み方やペアリングに工夫を加えるとさらに深い体験ができます。

ストレート

スパニッシュオーク樽由来の複雑な香りをダイレクトに感じ取ることができます

レーズンやドライフルーツのような甘い香りや、シナモンやスパイスのニュアンス、ほのかに感じるウッドスモークなど、風味の層が次々と現れ、芳醇な味わいが広がる銘柄が多いです。

ストレートで楽しむ際は、グラスや温度などにもこだわるとより深く楽しめるでしょう!

オン・ザ・ロック

スパニッシュオーク熟成のウイスキーのように芳醇な銘柄は、氷が溶けることで徐々に甘みが引き立ち、フルーティーさがより豊かに感じられます

また、スパイシーな余韻が際立つため、飲むたびに異なる表情を見せるのも魅力です。

暑い季節や食後のリラックスタイムにぴったりです。

ペアリング

スパニッシュオーク熟成のウイスキーは、ダークチョコレート、ドライフルーツ、ナッツといった濃厚な風味のスイーツとの相性が抜群です。

特に、ビターチョコレートはスパニッシュオークのシェリー由来の甘みと絶妙にマッチし、ナッツやイチジクはウイスキーのフルボディな味わいを引き立てます。

これらのペアリングで、より深みのあるウイスキー体験を楽しんでみてはいかがでしょうか。

スパニッシュオークを使用したカクテルレシピ

スパニッシュオークのリッチな香りをカクテルに活かすことで、より深い体験が楽しめるでしょう。

例えば……

スパニッシュオークの芳醇なフルーティさとイチジクとの相性の良さを生かす……

スパニッシュオーク熟成のウイスキーにイチジクをインフューズ(漬け込み)。

そのウイスキーを使ってハイボールやカクテルを作ことで通常のものと違った独自の味わい・香りが楽しめるでしょう。

ワイン系のリキュール・お酒を使ったカクテルと合わせる

スパニッシュオーク熟成のウイスキーは、渋みやリッチな味わいが特徴です。

ワイン系のリキュール(スイートベルモットなど)を使ったカクテルのベースに使用することでよりリッチな味わいに仕上げることができるでしょう。

スコッチ・マンハッタン(ロブロイ)やアフィニティ、チャーチルなどがおすすめです。

スパニッシュオークの選び方と購入方法

おすすめの購入先と価格帯

スパニッシュオーク熟成のウイスキーは数量限定で販売されることが多くなっています。

そのため、オンラインショップでのご購入がおすすめです。

山崎 スパニッシュオークや白州 スパニッシュオークなどは、サントリーの公式サイトより抽選販売の告知がされます。

また、スパニッシュオークの特徴を存分に味わいたいのなら、ボトラーズウイスキーでスパニッシュオークのシングルカスクを選ぶのがおすすめです。

他にも、ウイスキー専門のオンラインショップを利用すれば、珍しいボトルも入手することもできます。

スパニッシュオークのウイスキーが希少な存在であるため、オンラインショップで探してみると良いでしょう。

定価や販売状況についての注意点

人気のあるウイスキー、特に「山崎 スパニッシュオーク」や「マッカラン シェリーオーク 12年」などは、希少性や需要の高さから市場価格が高騰する傾向があります。

これらのウイスキーは、数量限定でリリースされることも多く、定価を大幅に超えるプレミアム価格で販売される場合も……。

そのため、購入を検討する際は、まず公式サイトや信頼できる販売店での定価を確認することが重要です。

また、オンラインショップでは価格の変動が激しいため、複数の店舗を比較するのも賢明でしょう。

さらに、オークションや個人売買では偽物や過剰な価格設定も見受けられるため、十分な注意することを推奨します。

スパニッシュオークのウイスキーについてのよくある質問(FAQ)

スパニッシュオークとはどのような木材ですか?

スパニッシュオーク(Quercus pyrenaica)は、主にスペイン北部やポルトガルで生育するオークの一種です。この木材はタンニンを多く含んでおり、熟成過程でウイスキーにリッチでスパイシーな香りや、レーズンやドライフルーツのような甘みを与える特徴があります。特にシェリー樽に多く使われることで有名です。

スパニッシュオーク樽で熟成させたウイスキーの特徴は何ですか?

スパニッシュオーク樽熟成のウイスキーは、濃厚でフルーティーな香りと複雑な味わいが特徴です。シェリー酒のニュアンスを持つため、レーズンやプラム、ドライフルーツの香りに、シナモンやナツメグのようなスパイスのアクセントが加わることが多いです。さらに、ウッドスモークやチョコレートのような風味も感じられることがあります。

スパニッシュオーク熟成のウイスキーはどのように楽しむのが良いですか?

スパニッシュオークのリッチな風味を楽しむためには、ストレートやロックがおすすめです。ストレートでは複雑な香りと風味をダイレクトに楽しむことができ、ロックでは徐々に甘みが引き立ち、スパイシーなニュアンスが際立ちます。また、ダークチョコレートやドライフルーツとペアリングすることで、より深い味わいを楽しめます。

スパニッシュオーク樽のウイスキーはどこで購入できますか?

スパニッシュオーク樽で熟成されたウイスキーは、特に限定品やプレミアムウイスキーとして販売されることが多く、信頼できるウイスキー専門店や公式オンラインショップでの購入が推奨されます。また、免税店や一部の高級デパートでも取り扱われることがあります。価格が高騰することが多いため、購入前に定価を確認することをおすすめします。

スパニッシュオーク熟成ウイスキーは、そのリッチで奥深い風味が魅力です。

自分に合った一杯を見つけて、ぜひその世界観を堪能してください。

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