【ウイスキー用語】「直火蒸留」|蒸留方法の違いがウイスキーに与えるもの

当ページのリンクには広告が含まれています。
  • URLをコピーしました!

モルトウイスキーの蒸留方法には大きく2つの方法があります。

それは、「直火蒸留」と「間接蒸留」です。

直接火を当てるか、蒸気などで間接的に加熱するかの違いで、直火蒸留は伝統的に行われてきた製法でした。

ところが、徐々にその数を減らしていき、今では世界的に稀有な存在となっています。

直火蒸留の原酒は、力強くトースティでボディが厚いことが特徴。

この独特な風味に虜となっているウイスキーファンも多いことでしょう。

今回は直火蒸留の特徴や今でも行っている蒸留所について詳しく解説していきます。

目次

直火蒸留とは?

ポットスチル(銅製の単式蒸留器)で作られるシングルモルトのようなウイスキーの中には、直火で蒸留されているものがあります。

直火蒸留ポットスチルに直接火を当てて蒸留する方法のことです。

他には蒸気などで間接的に加熱する間接蒸留があります。

加熱方法の違いにより、出来上がるお酒は特徴が異なることがあるのです。

その違いについて直火蒸留のウイスキーの特徴から解説していこうと思います。

直火蒸留によるウイスキーの風味とは?

直火蒸留による原酒の特徴
  • トースティ
  • 力強い
  • フルボディ

直火蒸留は高温度で加熱されます。

間接蒸留が120~150℃程度なのに対して、直火蒸留の火との接地面は1000℃程度です。

安井

銅の融点が1085℃なので、ポットスチルが溶けるギリギリの温度ですね……(笑)

高温での加熱により、新しい香りの生成(メイラード反応、トースト香)高沸点成分が含まれることがあります。

すると、香ばしく、力強いフルボディの原酒となりやすいのです。

直火蒸留の特徴
  • トースト香や力強さ、ボディの厚さが得られやすい
  • 初留(一回目の蒸留)時にしか行われない
  • 熱効率が悪く、コストがかかる
  • 清掃がしにくい
  • 熟練の技術が必要

直火蒸留のポットスチルの特徴

直火蒸留のポットスチルの特徴は、ラメジャーという構造を持っていることです。

鎖がモーターで回転する装置で、ポットスチルの底の焦げ付き防止のために取り付けられています。

安井

直火蒸留のポットスチルが稼働しているとき、「じゃらじゃら」といった音が鳴るんですよね。

また直火蒸留のポットスチルは変形し穴が開いてしまいやすいため、間接蒸留のポットスチルに比べて底が厚くなっています。

間接蒸留との違い

直火蒸留に対して、蒸気などを使用して加熱される蒸留方法を「間接蒸留」と言います。

蒸留器内のパイプに120~150℃程度の蒸気を通して加熱する方法で、すっきりと爽快感のある原酒となりやすいです。

現在、ウイスキーの主流は「間接蒸留」となっています。

間接蒸留の特徴
  • 温度管理がしやすい
  • 熱効率がいい
  • 清掃がしやすい
  • コストが少なく抑えられる

直火蒸留よりメリットが多いため、1960年代初期~80年代中期にかけてスコットランドの多くの蒸留所が間接蒸留へと切り替えました。

直火蒸留で作られるウイスキーの種類

現在、直火蒸留はスコッチウイスキージャパニーズウイスキーのモルトウイスキーぐらいしか行われません。

さらに旧時代的な蒸留方法であるため、モルトウイスキー蒸留所でも行っているところは少ないです。

ほとんどの蒸留所が直火蒸留を行っていましたが、手間・コストがかかる上に良さがわかりにくいことが減ってしまった理由でしょう。

ところが、最近クラフト蒸留所が世界中にできていることで、直火蒸留が注目されています。

あえて直火蒸留を導入する蒸留所もあるほどです。

安井

もしかしたら「余市」が世界的に賞を受賞し、世界に認められたことも関係しているのかも……。

直火蒸留を今でも行っている蒸留所一覧

スコットランド

蒸留所名詳細
スコットランド
グレンフィディック複数所有しているポットスチルのうちの一部のみ
グレンファークラス昔から直火蒸留にこだわっている。ガス火
グレンギリー 北海油田のガスを利用している
マッカラン複数所有しているポットスチルのうちの一部のみ
ドーノッホ誕生したばかりのクラフト蒸留所で、あえて直火を導入
日本
山崎一部初留釜で直火蒸留を採用
白州一部初留釜で直火蒸留を採用
余市世界で唯一の「石炭直火蒸留」
静岡世界で唯一の「薪直火蒸留」
秩父(第2蒸留所)第1蒸留所と違う特徴として直火が採用

2000年代に、さらに多くの蒸留所が間接蒸留へと切り替えてしまいました。

例えば、グレンドロナックアードベッグマクダフなど

ドーノックのようにクラフト蒸留所で直火蒸留を採用されることがありますので、今後増える可能性もあります。

日本の場合、一つの蒸留所でさまざまなタイプの原酒を作るので、間接蒸留と直火蒸留を持っている所が多いです。

特に山崎、白州は幅広い原酒を作るために、一部直火蒸留のポットスチルを持っています

有名なところは、世界で唯一となった石炭直火の余市蒸留所

他にも、静岡蒸留所のように薪直火で蒸留するところもあります。

最後に……

最後までお読みいただきありがとうございます。

今回のお話いかがだったでしょうか?

今回は「直火蒸留」にフォーカスさせていただきましたが、今回の記事で知ってほしいことは蒸留の仕方で味わいが大きく変わること。

直火蒸留はその一例でしかなく、「トースティ・力強さ・フルボディ」といった味わいを与えるのが直火蒸留の特徴となります。

もちろん直火蒸留を行っている蒸留所でもすべて直火蒸留で行っているわけではありません。

基本的に「初留」のみが直火蒸留されることが多いですが、それでも飲み比べてみると特徴がわかると思います。

ぜひ今回挙げた「直火蒸留を行っている蒸留所一覧」のウイスキーを一通り飲んでみて、間接蒸留のみで作られているウイスキーを飲み比べてみてください。

より一層ウイスキーの魅力に気付けると思います。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

シェア・フォローよろしくお願いいたします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次