イギリスの伝統的な田園地帯であるコッツウォルズに位置するコッツウォルズ蒸溜所は、イングリッシュ・ウイスキーの発展を牽引する存在として注目を集めています。
創業者のダン・ゾール氏は、金融業界でのキャリアを捨て、ウイスキー造りという新たな道を切り拓きました。
本記事では、彼の挑戦と、現在進行中のイングリッシュ・ウイスキーの地理的表示(GI)申請が業界に与える影響について詳しく解説します。
コッツウォルズ蒸溜所の創設と成長
ダン・ゾール氏は2014年、イギリスのコッツウォルズ地方に自身の蒸溜所を設立しました。
元々ウォール街で活躍していた彼は、都市の喧騒を離れ、穏やかな田園風景の中でウイスキー造りを始めることを決意します。
彼が選んだのは、廃墟となっていた建物を改装し、ウイスキーの製造施設として生まれ変わらせることでした。
現在、コッツウォルズ蒸溜所はウイスキーだけでなく、ジンやリキュールといった幅広い製品を手掛けており、多くの賞を受賞しています。
その代表的な製品には、コッツウォルズ・シングルモルト・ウイスキーやコッツウォルズ・ドライジンがあります。
イングリッシュ・ウイスキーのGI申請とは?
イングリッシュ・ウイスキーはここ数年で急成長しているカテゴリーですが、スコッチ・ウイスキーのように明確な地理的表示(GI:Geographical Indication)の規定が存在していません。
そこで、イングリッシュ・ウイスキー・ギルド(EWG)が中心となり、GIの認定を求める動きが進められています。
GIは、ある特定の地域で生産された商品に対して品質や特徴を保証するもので、消費者にとっても信頼の指標となります。
ゾール氏によると、GIの申請は4年間にわたる準備期間を経て、2024年2月に協議段階へと移行しました。
現在、2025年5月19日までの3カ月間にわたる公開協議期間が続いており、正式な認定に向けた議論が進んでいます。
スコッチ・ウイスキー・アソシエーションの反対意見
GIの認定に向けた動きには賛否両論があります。特にスコッチ・ウイスキー・アソシエーション(SWA)は、イングリッシュ・ウイスキーのGIに対して懸念を示しています。
SWAの主張は、GIの規定から「マッシング(糖化)」と「発酵」の工程が省略されている点にあります。
スコッチ・ウイスキーの場合、すべての工程を単一の施設内で行うことが義務付けられていますが、イングリッシュ・ウイスキーでは一部の工程を外部委託することが認められる可能性があります。
例えば、ヨークシャーにあるスピリット・オブ・ヨークシャー蒸溜所は、設立当初から近隣の醸造所と提携してビールの糖化と発酵を行い、その後の蒸溜を自社で行っています。
ゾール氏はこのような方法がイングリッシュ・ウイスキーの成長を支えてきたと述べ、GIのルールは小規模蒸溜所の発展を妨げるものであってはならないと主張しています。

GIの導入がもたらす可能性
イングリッシュ・ウイスキーのGIが認められることで、次のようなメリットが期待されています。
- ブランド価値の向上:
- GIによって品質が保証され、消費者の信頼を得やすくなる。
- マーケットの拡大:
- スコッチ・ウイスキーやアイリッシュ・ウイスキーと並ぶ、新たなカテゴリーとしての確立が可能になる。
- 生産者の創造性の促進:
- 規定が厳しすぎると新規参入が難しくなるため、適度な自由度が求められる。
ゾール氏は、「小規模な蒸溜所が発展するためには、完全に設備を備えることが必須ではない。GIが認められることで、地域の特性を活かしながら多様なウイスキー造りができる」と述べています。
コッツウォルズ蒸溜所のウイスキー詳細
製品名 | 種類 | アルコール度数 | 特徴 |
---|---|---|---|
コッツウォルズ・シングルモルト | シングルモルトウイスキー | 46% | フルーティーで豊かな味わい |
コッツウォルズ・ドライジン | ジン | 46% | 地元産のボタニカルを使用 |
サマーカップ | リキュール | 30% | フルーツの風味が特徴 |
まとめ
コッツウォルズ蒸溜所は、イングリッシュ・ウイスキーの発展を牽引する存在として成長を続けています。
現在進行中のGI申請は、イングリッシュ・ウイスキーのブランド価値を高める一方で、スコッチ・ウイスキー業界からの反発も招いています。
今後の議論の行方に注目が集まります。
記事のポイントまとめ:
- コッツウォルズ蒸溜所は、元金融マンのダン・ゾール氏が2014年に設立。
- イングリッシュ・ウイスキー・ギルドがGI申請を進めており、現在公開協議中。
- スコッチ・ウイスキー・アソシエーションは、GIの規定が不完全だと反対。
- GIが認められると、ブランド価値向上や市場拡大が期待される。
- コッツウォルズ蒸溜所はウイスキーだけでなく、ジンやリキュールなども製造。
イングリッシュ・ウイスキーは、今後どのような発展を遂げるのか。その動向に目が離せません。
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