スコットランドでは、アルコールによる健康被害の深刻化を受けて、再び酒類の最低価格を引き上げる可能性が浮上しています。
2023年にはスコットランドだけで1,277人がアルコールに起因する死で命を落とし、15年ぶりの高水準を記録しました。
英国全体では10,000人以上となっていますが、スコットランドは人口あたりで見ると突出しており、特に深刻な状況にあると指摘されています。
最低価格制度(MUP)の現状と動き
2018年に導入されたアルコール最低価格制度(MUP:Minimum Unit Pricing)は、アルコール10mlあたり50ペンス(約95円)という価格設定から始まりましたが、2023年9月には65ペンス(約123円)に引き上げられました(つまり、アルコール10mlあたりの最低価格を指します)。
現在、医療関係団体や公共保健機関などが、政府の承認を必要としない自動引き上げの仕組みを導入すべきだと主張しています。
アルコール・フォーカス・スコットランドや王立救急医学会、王立家庭医協会、王立看護大学などが連名で発表した報告書は、政策の効果を最大化するためには、MUPの段階的かつ継続的な調整が必要だと述べています。
価格上昇の影響
- 700mlのウイスキー(アルコール度数40%)は14ポンドから18.20ポンドへと約4ポンドの値上がり
- アルコール度数5%のビール4缶セットは、4.40ポンドから最低でも5.72ポンドに
- 一部のワインボトル(13%)は、4.88ポンドから6.34ポンドに
これらの変化は家計への影響だけでなく、飲酒習慣や健康リスクにも大きなインパクトを与えるとみられています。
政府と専門家の見解
スコットランド保健相ニール・グレイ氏は、「アルコール関連の害と死亡を減らすことに引き続き取り組む」と述べています。また、Alcohol Focus Scotlandの暫定CEOであるローラ・マホン氏は次のように強調しました。
「長年にわたってアルコール死亡が増え続けている現状を前に、明確なリーダーシップと投資が必要です。早期発見と的確な支援によって、さらなる被害を防ぐことができます。」
肝疾患の早期発見も公衆衛生政策の優先事項となっており、全国的なナショナルセンターを通じて体制の整備が進められています。
今後の見通し
スコットランド政府は、2025年5月6日に発表予定の新たな政策プログラムで、最低価格制度に関する方針を示す可能性があります。すでに国内外の公衆衛生専門家からは、MUPが数百人の命を救い、アルコール起因の入院を減らしたとの評価も寄せられており、制度のさらなる強化が求められています。
まとめ
- スコットランドでは最低価格制度(MUP)の再引き上げが議論中
- アルコール起因の死亡は英国の中でもスコットランドが最多水準
- 医療・公衆衛生団体は自動調整制度の導入を提言
- ウイスキーやビールなど、酒類全体の価格が上昇傾向
- 5月6日に政府が新たな政策プログラムを発表予定
この動きは、ウイスキー文化が根付くスコットランドにとっても、健全な飲酒環境の構築と業界の持続性の両立という、難しいバランスを問うものとなるでしょう。



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