日本酒蔵が米から導いた新しい答え、「哲/TETSU REFINE〖錬〗」発売

引用:https://tetsuwhisky.com/news
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西堀酒造・日光街道小山蒸溜所から、酒米由来の吟醸粉を使ったシングルグレーンジャパニーズウイスキー「哲/TETSU REFINE〖錬〗」が登場しました。

清酒酵母100%で発酵させ、国産ステンレス蒸留器減圧蒸留する、日本酒蔵ならではの一本です。

注目したいのは、米を原料に加えただけの商品ではないこと。米を磨き、発酵を整え、香味を洗練させる「吟醸」の考え方を、原料・発酵・蒸留の工程全体へ持ち込んでいます。

スコッチの製法をそのまま再現するのではなく、日本酒造りの技術からジャパニーズウイスキーを組み立てる。そんな蒸溜所の方向性を、分かりやすく示した商品といえるでしょう。

目次

哲/TETSU REFINE〖錬〗」の商品情報

商品スペックは以下のとおりです。

項目 内容
商品名 哲/TETSU REFINE〖錬〗シングルグレーンジャパニーズウイスキー
分類 シングルグレーンウイスキー
原材料 グレーン(米)、モルト
グレーン原料 酒米由来の吟醸粉
発酵 清酒酵母100%
容量 700ml
アルコール度数 50%
希望小売価格 13,600円(税抜)
発売時期 2026年7月下旬

取扱酒販店では7月下旬から順次販売。公式オンラインショップの会員向け予約分は7月21日から出荷され、西堀酒造アンテナショップでは8月1日以降に店頭販売が始まりました。

店頭在庫には限りがあるため、現在の販売状況は各酒販店への確認が必要です。生産本数、熟成に使用した樽、熟成年数の詳しい内訳は、確認時点の公式発表では公表されていません。

酒米由来の「吟醸粉」をウイスキーへ

REFINE〖錬〗の大きな特徴は、グレーン原料に酒米由来の吟醸粉を採用している点です。

日本酒、とりわけ吟醸酒では、米の外側を削り、中心部を使って繊細な香味を目指します。その精米工程で生まれる米粉を、日光街道小山蒸溜所はウイスキーの原料として活用しました。

グレーンウイスキーにはトウモロコシや小麦なども使われますが、穀類として米を選ぶことで、日本酒蔵が日常的に向き合ってきた素材と技術をウイスキーへつなげています。

これは単なる和風の演出ではありません。酒米を扱ってきた蔵の経験を、ウイスキーの設計そのものに組み込む試みです。

また、精米時に生じる素材を別の酒類へ生かす点は興味深いものの、使用量や調達範囲は未公表です。現段階で、環境負荷の低減やアップサイクルの効果まで断定することはできません。

清酒酵母100%で発酵させる理由

蒸溜所はREFINE〖錬〗の発酵に、清酒酵母を100%使用しています。

ウイスキー造りでは原料や樽が注目されがちですが、酵母も香りの土台をつくる重要な要素です。日光街道小山蒸溜所では、清酒酵母を低めの温度で時間をかけて発酵させ、吟醸香を思わせる香気を引き出す方針を掲げています。

ただし、「清酒酵母を使えば日本酒のような味になる」という単純な話ではありません。発酵後には蒸留と樽熟成が続き、最終的な香味は複数の工程によって形づくられます。

REFINE〖錬〗で重要なのは、日本酒の味を再現することよりも、日本酒造りで培った発酵管理をウイスキーへ応用している点でしょう。

ステンレス蒸留器と減圧蒸留という選択

日光街道小山蒸溜所では、藪田産業と共同開発した国産ステンレス製の蒸留器を使用しています。内部には特殊な銅板加工を施し、常圧蒸留と減圧蒸留の両方に対応できる設計です。

減圧蒸留は、装置内の圧力を下げることで液体の沸点を下げる方法。蒸溜所は、この仕組みによって清酒酵母由来の軽いエステル系の香りを取り出し、フルーティーでやさしい酒質を目指していると説明しています。

一般的な銅製ポットスチルとは異なる設備を選んでいることも、REFINE〖錬〗を特徴づけるポイントです。

一方で、蒸留器の材質や蒸留方式だけで品質の優劣は決まりません。REFINE〖錬〗では、酒米、清酒酵母、温度管理、減圧蒸留を一つの流れとして設計していることに意味があります。

「ジャパニーズウイスキー」と表示する意味

REFINE〖錬〗は、公式に「シングルグレーンジャパニーズウイスキー」と表示されています。

日本洋酒酒造組合の自主基準では、ジャパニーズウイスキーを名乗るために、麦芽を必ず使用することに加え、国内での糖化・発酵・蒸留、700リットル以下の木製樽による国内3年以上の貯蔵、国内での瓶詰め、瓶詰め時40%以上といった要件を定めています。

REFINE〖錬〗の公表スペックは米とモルトを原料とし、アルコール度数は50%です。公式サイトは日光街道小山蒸溜所で製造したジャパニーズウイスキーとして案内していますが、詳細な樽構成や各原酒の熟成年数までは公開されていません。

そのため記事では、メーカーの表示と公表情報を紹介しつつ、非公開の製造情報を推測で補わないことが大切です。

日本酒蔵が考える「日本らしいウイスキー」

日光街道小山蒸溜所は、1872年創業の西堀酒造が2022年に栃木県小山市で立ち上げました。国登録有形文化財を含む酒蔵の敷地に残る旧精米蔵を改築し、蒸溜所として活用しています。

背景にあるのは、冬に日本酒、夏に蒸留酒を造り、地域の酒蔵を持続させたいという考えです。

蒸溜所が目指すのは、海外のウイスキーを模倣することではなく、清酒酵母、酒米、蔵の仕込み水、日本酒の発酵技術を生かした酒造り。REFINE〖錬〗は、その考え方をシングルグレーンという形で示しています。

米を使うだけなら、世界にもライスウイスキーの例はあります。REFINE〖錬〗の独自性は、原料を米に置き換えたことより、「吟醸」という日本酒の思想を発酵と蒸留まで一貫させた点にあると考えられます。

13,600円という価格をどう見るか

希望小売価格は700mlで13,600円(税抜)。日常的なグレーンウイスキーと比べれば、気軽に手を伸ばせる価格ではありません。

一方、小規模な蒸溜所が独自設備を用い、酒米由来の原料と清酒酵母で造る商品であることを考えると、量産型グレーンウイスキーとは異なる価値を打ち出した価格設定とみられます。

購入を検討する際は、「シングルグレーンだから手頃」という従来のイメージではなく、日本酒蔵の技術をどうウイスキーへ置き換えたのかという製造背景が判断材料になりそうです。

ただし、試飲を行っていないため、価格に見合う味わいかどうかは本記事では評価していません。公式テイスティングノートも確認できないことから、香味の断定は避けます。

日本の発酵文化から生まれたシングルグレーン

哲/TETSU REFINE〖錬〗」は、日本酒蔵が持つ素材と技術を、ウイスキーの原料・発酵・蒸留へ落とし込んだ一本です。

酒米由来の吟醸粉清酒酵母100%減圧蒸留という要素は、それぞれが珍しいだけでなく、「日本酒蔵だから造れるウイスキー」という共通の方向へ結びついています。

味わいや熟成構成など、まだ知りたい情報は残されています。それでも、ジャパニーズウイスキーの個性を産地名やパッケージだけでなく、発酵技術からつくろうとする姿勢は注目に値するでしょう。

REFINE〖錬〗は、日本らしいウイスキーとは何かという問いに対する、西堀酒造の現在地を示す商品になりそうです。

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